2012 Fiscal Year Research-status Report
メタ認知的知識の構造変容を測度にした読解指導プログラムの開発
Project/Area Number |
24653181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
黒岩 督 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (80153394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中條 和光 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90197632)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育系心理学 / 教授法 / 読解指導 / メタ認知的知識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,読解に関する児童・生徒のメタ認知的知識の構造変容に着目し,これを効果測定の尺度にした指導プログラムの開発を行い,実践場面での有効性を検討することである。初年度として,以下を実施した。 1.児童の文章読解についてのメタ認知的知識の構造変容を把握するための測度を構成するため,読解方略質問紙(犬塚,2002)をもとに,28項目からなる質問紙を作成し,小学4~6年生を対象に調査を実施した。次年度に向けて,メタ認知的知識の次元性の抽出を中心に分析を進めているところである。 2.教師が読解指導についてもつ信念とメタ認知的知識の構造との対応関係を調べるため,教職経験5~20年の教師8名を対象に,読書指導及び読解指導場面で行ってきた教授学習指導の実際,それが児童に及ぼす影響,そこでの教師の思考などについてインタビューを実施した。次年度の読解指導プログラムの開発に向けて,教師が児童の読解を深めると考えている知見や学習活動の特徴を明らかにすべく分析を行っているところである。 3.手順を説明する手続き的説明文の読解方略の使用と読み手の特性との関係を検討した。自由記述で手続き的説明文の読み方を収集し,それに因子分析を適用し,図表の活用,意味明確化,標識の活用,メタ認知的な活動,既有知識活用という読解方略の5つのカテゴリーを得た。説明文の読解直後における5カテゴリーの読解方略の使用を測定し,これと読み手の特性(言語性作動記憶と空間性作動記憶の容量の個人差)の関係を検討した。その結果,図表の活用方略の使用には空間性作動記憶が関わっており,意味明確化および既有知識活用方略は,二種類の作動記憶容量の高低によって読解方略の使用に交互作用の傾向が見られた。これらの内容は論文にまとめるとともに,一部は学会での発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画として,次の2つをあげた。(1)児童生徒の文章読解についてのメタ認知的知識の構造把握のための測度の構成。(2)指導履歴の異なる教師間の読解指導についてのメタ認知的知識の構造の比較。後者については,定量的レベルでのデータは得られなかったが,一連の調査の実施により,計画はおおむね達成されたと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査で得たデータの分析を継続して進め,成果のまとめと発表を行うことにより広く成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は支払い処理の都合により生じたもので,研究は当初の計画通り行う。
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Research Products
(2 results)