2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの心の減災支援基盤の構築‐学校における包括的な心の健康教育モデルの提言‐
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24653193
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 真理子 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 教授 (80229575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 由紀 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00258576)
坪井 裕子 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (40421268)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 心理学的介入 / 小学校 / 危機回回避能力 / 心の健康と減災 |
Research Abstract |
本研究は、子ども自身の心の減災能力と危機回避能力を心の健康概念の中に位置づけ、学校を核とした、包括的な心の健康促進に対する教育的支援モデルの基盤を構築することを目的とするものである。この目的にそって今年度は以下を実施した。 1.防災教育に統合した心の減災心理教育プログラムの開発、試行実施、効果測定および ビデオ制作と指導案作成:学校現場において教師が実施できる防災教育と心の減災心理教育として、ストレス反応に対するリラクセーション学習を含むプログラムを開発し、複数の小学校において試行実施、効果測定を行った。その結果、1時間の授業におけるプログラムであっても子どもの基本的な自尊感情にも効果を及ぼす可能性が明らかになった。試行実施による改善を経て、指導案とビデオを制作した。 2.小・中学校および特別支援学校教員を対象とした、防災教育と心のケアに関する現状調査とニーズ調査:愛知県内の約3000名の教員を対象とした大規模なアンケート調査を実施した。その結果、心のケアに関する教育は大部分の学校で実施されていないことが明らかになった。一方、多くの教員は、学校教育において心のケアに関する心理教育が必要であると考えているものの、自分たちに知識が乏しいことに対する不安がうかがわれた。これらの結果は、調査協力した各自治体、学校に報告書としてフィードバックを行った。 3.高校生を対象とした、心の減災心理教育の実施者としての人材育成に関する試みとして1日研修を実施した。高校生は自らの心の危機回避能力の育成と同時に小・中学生に対する援助者としての育成も重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の最終目的であった子ども自身の心の減災能力と危機回避能力を心の健康概念の中に位置づけ、学校を核とした、包括的な心の健康促進に対する教育的支援モデルの基盤を構築することのうち、学校での現状把握と教員のニーズに関する大規模調査をふまえ、学校教師による心の減災能力育成を目指す心理教育モデルは試行改善を経て一応の完成をみた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、さらに一層の心の健康促進に寄与するプログラムを発展開発する予定である。具体的には今年度開発した1回型プログラムを通年型プログラムに発展させ、試行授業、効果測定検証を経て完成させる予定である。同時に、これらのプログラムを学校現場で教師が有効に使用できるよう研修プログラムを作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.通年型心理教育プログラムの開発費用。 2.開発のための国内外での資料・情報収集費用。
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