2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24653211
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮内 良太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30455852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜木 祐史 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (00343187)
木谷 俊介 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 研究員 (70635367)
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Keywords | 聴覚心理 / 聴覚末梢 / 選択的注意 / 聴覚末梢の能動制御 / 遠心性フィードバック |
Research Abstract |
本研究では,聴きたい音を高次の知覚過程で選択し,その情報の遠心性フィードバックによって聴覚末梢系を能動的に制御することで,周波数分解能が選択的に変化するという仮説を検証する。 まず,手がかり音を呈示することで,その音に対する周波数分解能がどのように変化するかを明らかにするために,聴覚フィルタ形状の推定を行った。その結果から,その音に対応する聴覚フィルタのフィルタ形状が先鋭化することが分かった。さらに,心理物理同調曲線の測定結果から,手がかり音の周波数周辺の音に対する感度が低下し,その結果として聴覚フィルタ形状が変化することが分かった。 以上の結果から,先行して入力される手がかり音周波数の情報が,遠心性フィードバック経路を通って外有毛細胞に伝達され,その周波数に対応する基底膜周辺の外有毛細胞の能動的な動きが抑制されることによって,聴きたい音を強調していると考えられる。ただし,主観評価のみでは,基底膜振動が能動的に制御されていることを客観的に証明することが難しい。そこで,蝸牛内の特性を反映した生理指標の一つである耳音響放射の特徴を,様々な音刺激パターンにおいて分析した。もし仮説が妥当であれば,注意を向けた音の周波数周辺の音に対する耳音響放射が小さくなると考えられる。しかし,結果からはこのような傾向を得ることができなかった。ただし,注意によって耳音響放射が小さくなる傾向が想定していた周波数よりも広範囲に表れた。耳音響放射は,主観評価以外で観察することの難しかった聴覚的注意を客観的に測定できる指標として有用である可能性を示すことはできた。 本研究では,主観評価実験の結果から聴きたい音の情報の遠心性フィードバックによって聴覚末梢系が能動的に制御されるという仮説の妥当性を示すことができた。また,耳音響放射による聴覚的注意の測定という次のステップへ進むための重要な手がかりを得た。
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Research Products
(3 results)