2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24653212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川合 伸幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30335062)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サル / 言語 / 単語 / 進化 / 概念 / スペル |
Research Abstract |
ヒトはなぜ・どのように言語を獲得するようになったかについて、言語学、心理学、生物学、神経科学などさまざまな領域で研究が行われて来た。ヒトだけが言語を操れることは疑いの余地はないが、ヒトの言語が漸進的に進化したか跳躍的な進化をしたかを検討するために、霊長類の言語能力が調べられて来た。霊長類の言語進化の研究は、1)基本的に類人猿を対象に、2)文法の理解/生成に焦点をあててきた。類人猿はある概念を表現するために特定のシンボルを選択することができる。しかし、ヒト以外の動物が任意のシンボルを特定の順序で組み合わせて、ある概念を表現することが可能かどうか、すなわち単語を生成できるかどうかは検討されたことがない。そこで、本研究では、サルが単語を生成できるかを検討する。 サルが「単語を書く」ためには、複数の予備的な訓練が必要となる。まず、サルは反応すべきアルファベットがそれぞれ異なることを習得しなければならない(「C」と「G」は異なるなど)。その後、概念学習を習得した後に、はじめて概念に対して複数のシンボルを系列的に反応するという訓練が可能となる。その後にようやく、般化テストによって、サルが「単語」を連続したアルファベットとして表象しているかを調べることができる。したがって、必要な訓練は、1)文字(アルファベット)の弁別、2)文字の見本合わせ、3)概念学習、4)概念学習+系列反応である。これらの訓練には相当時間を要すると考えられる。 H24 年度の前半は刺激の収集・加工と装置の製作にあてた。年度の後半から、概念学習の訓練で用いる複数のアルファベットに対する「見本合わせ訓練」を、ニホンザル3頭に対して実施した(最初に「C」が呈示され、それを選ぶと、「C」と「G」が呈示され、最初に選んだ刺激を選べば報酬が与えられる)。 学習の早い個体では、3つの選択肢から、95%以上正しく選べるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画通り、最初に習得すべき見本合わせ課題を、早い個体ではほぼ習得しつつある。しかし、実験装置が1つしかなく、3頭を同時に並行して実施できないので、それなりに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究の受入れ先に実験装置を増やす交渉を行い、装置を作成・増加しより効率的に実験が進捗するよう務める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、既存の装置を用い、ほかの研究課題の合間にニホンザルを用いて本研究課題の基礎的な訓練を実施した。このため、新規に装置を作成する必要がなく、予定していた予算を使用しなかった。しかし、H25年度は実験を加速するため、研究受入れ先と交渉を行い、複数のサルが同時に実験ができるようにしたい。交渉がうまくいけば、実験装置を作成するので、物品費として800,000円支出する見込みである。その他、成果の報告や資料の収集のために、旅費として100,000円、人件費として100,000円、英文校閲などのために100,000円支出する予定である。
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