2012 Fiscal Year Research-status Report
加齢変化を考慮した騒音評価方法の開発に向けた聴覚モデルの構築
Project/Area Number |
24653219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
倉片 憲治 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (90356931)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 聴覚 / 音響心理 / 音の大きさ / 聴覚モデル / 高齢者 / 加齢効果 / 騒音評価 |
Research Abstract |
平成24年度は,音響心理実験によって基本的な聴覚特性の測定を行い,25年度以降に開発する聴覚モデルの基礎となる結果を得ることを計画していた。具体的には,音響条件の統制された無響室内にてスピーカから純音(ある単一の周波数をもつ音)を若齢及び高齢の被験者にそれぞれ提示し,知覚される音の大きさの判断を求める;さまざまな周波数及び強さ(音圧レベル)の純音を用いてこの測定を繰り返すことにより,周波数と強さの関数で表現された基本的な音の大きさの増加関数を,可聴範囲(聴取可能な音の周波数と強さの範囲)全体にわたって求める予定であった。 しかし,この音響心理実験を実施するにあたり,平成23年度までに収集した予備的な実験結果の分析を進めたところ,これまでの音響心理学的知見から予想される音の大きさの増加関数が,その結果と必ずしもうまく合致しない点のあることが明らかとなった。そのため,当初計画を変更して,大規模な実験を開始する前に,その増加関数を再分析し,予想される聴覚モデルの検討を慎重に行うこととした。 なお,当初計画では,聴覚モデルの検討のために,現実の騒音(交通騒音,環境騒音,機器の動作音など)を収録し実験素材とする作業を平成26年度に行う予定としていた。この作業は上記の再分析作業と並行して実施可能であったため,研究の効率を上げるためにその収録作業を前倒しして実施した。これにより,計30種類以上の音資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,当初計画した音響心理実験が実施できなかったため,その実施項目については交付申請書に記載した計画よりも遅れている。しかし,平成26年に予定していた別の実施項目,すなわち実験素材(現実の騒音)の収録を先行して実施できた。そこで,現時点では達成度はやや遅れていることになるが,3年間全体の計画として見れば大幅な遅れとはなっていないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究の結果,音響心理実験として実施すべき内容が固まりつつある。そこで平成25年度は,当初計画した音響心理実験を開始し,平成24年度に実施予定であった分も含めて,最終的な聴覚モデルの構築に必要なデータの収集に努めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
音響心理実験の実施に重点を置き,人件費(実験補助員)・謝金(若齢及び高齢の被験者)に主に支出する計画である。また,そのデータの記録・解析のために必要な記憶媒体,ソフトウェア等を調達する。成果の一部は関連学会にて発表することとし,そのための費用を支出する。
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