2012 Fiscal Year Research-status Report
理数系教員研修留学生の実践的指導力の向上をめざす研修プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
24653224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤田 剛志 千葉大学, 教育学部, 教授 (90209057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 敏伸 東邦大学, 理学部, 准教授 (30385942)
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, 教育研究情報センター, 総括研究官 (40200951)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハンズオン / 教材開発 / 教員養成 / 科学教育 / 国際情報交換 / フィリピン |
Research Abstract |
開発途上国等から、多くの理科教員研修留学生が来日している。彼らが最も興味を示すことは、自然の事物・現象に関する子どもの疑問を引き出し、その疑問を実験によって子ども自身に解決させる探究的な学習指導法である。 本研究の課題は、教員研修留学生が興味を示すこの学習指導法をいかに多くの開発途上国の教員に習得させるかに関連している。言い換えれば、開発途上国の現職理科教員を対象に、身近な素材を使って、安価に観察や実験を子ども達に行わせることができるハンズ・オン教材を開発し、その教材を実際の授業で活用することを通して、子どもたちが科学的な理解を深めることを支援することのできる理数系教員研修留学生向けの研修プログラムを開発することを目的とする。 平成24年度は、開発途上国の学習環境に適った、身近な素材を使った教材開発のあり方を明らかにすることを主目的として実態調査を行った。フィリピン、サンカルロス大学教育部の小学校教員を目指す学生を対象に、2012年11月と2013年2月の2度にわたって、日本のハンズオン教材を活用したワークショップを実施した。11月には、「空気と水」と「電磁石」、2月には「回路と伝導体」と「てこと天秤」の授業をサンカルロス大の学生に実施し、この種のハンズオン教材をこれまでの学校教育で使ったことがあるか、フィリピンの学校でも活用できるか、日本の教科書をどう思うかなどを尋ねた。また、これらの教材を活用した実践的な授業展開において、どのような指導活動を重視すべきかについての考え方が、ワークショップの前後でどのように変化するかも調べた。 その結果、日本の小学校でよく使われているハンズオン教材は、フィリピンの教員志望の大学生に好意的に評価された。このような教材を使って、学習することにより、子どもの学習に対する興味・関心が高まり、理解が深まると期待していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、開発途上国の子ども達にどのような教材が必要とされているか、それらの教材を開発するためには、教員にどのような能力が必要とされているかを明らかにすることを目的としていた。この目的を達成するための方法として、「空気と水」、「電磁石」、「回路と伝導体」、「てこと天秤」の授業をサンカルロス大の学生に実施し、どのようなハンズオン教材が効果的か、このような教材に対して、教員志望の大学生はどのような印象を持つのかを調査した。 調査の結果、日本のハンズオン教材がフィリピンの初等教育においても効果的に活用することができること、ただし教員志望の学生自身がこの種の教材に不慣れであるため、教員養成の段階において、教材を活用する経験を積む必要があることが明らかになった。このような成果を得ることができたので、研究は十分に進展しているもの判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、開発したハンズ・オン教材を活用した授業を開発途上国で実施し、教材の有効性について、形成的な評価を行うことによって、観察や実験の実践的指導力を向上させるためにどのような要件が求められるかを明らかにする。 具体的には、マレーシアのRECSAMにおいて、現職教員を対象に、昨年度フィリピンにおいて実施したワークショップを実施する。ハンズオン教材に関するマレーシア教員の経験度や実践への応用可能性についての評価とともに、昨年度も用いたpractical workにおいて重視すべき学習活動がワークショップの前後でどのように変化するかを明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マレーシアにおける調査研究のためにの外国旅費を60万、研究成果の発表のための国内旅費を20万、調査結果の分析等の研究補助、その他に10万を予定している。
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