2013 Fiscal Year Research-status Report
理数系教員研修留学生の実践的指導力の向上をめざす研修プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
24653224
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤田 剛志 千葉大学, 教育学部, 教授 (90209057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 敏伸 東邦大学, 理学部, 准教授 (30385942)
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, 教育情報研究センター, 研究員 (40200951)
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Keywords | ハンズオン / 教材開発 / 教員養成 / 科学教育 / 国際情報交換 / マレーシア |
Research Abstract |
本研究の課題は,海外の理科教員,特に開発途上国の教員研修留学生が興味を示す,我が国の初等理科教育における学習指導法,すなわち自然の事物・現象に関する子どもの疑問を引き出し,その疑問を実験によって子ども自身に解決させる探究的な学習指導法を,いかに多くの開発途上国の教員に習得してもらうか,である。具体的には,開発途上国の現職理科教員を対象に,身近な素材を使って,安価に観察や実験を子ども達に行わせることのできるハンズオン教材を開発し,その教材を実際の授業で活用することを通して,子どもたちの科学的な理解を深めることを支援できる理数系教員研修留学生向けの研修プログラムを開発することを目的とする。 平成24年度は,フィリピンの小学校教員を目指す学生を対象に,ハンズオン教材を活用したワークショップ形式の教員研修を二度にわたって実施した。 この実態調査に基づき,平成25年度は現職教員を対象とした研修をマレーシアのRECSAMにおいて実施した。「空気と水」,「電磁石」,「てこと天秤」の授業をマレーシア,ペナン市内の小学校教員20名に実施し,この種のハンズオン教材をこれまでの学習指導において活用したことがあるか,マレーシアの小学校でも活用できるかなどを尋ねた。また,このワークショップ形式の教員研修の前後において,このハンズオン教材を活用した実践的な授業展開において,どのような指導活動を重視すべきかについての考え方がどのように変化するかを調べた。 その結果,日本の小学校でよく使われているハンズオン教材は,マレーシアの小学校教員から肯定的に評価された。さらに,ハンズオン教材を活用した学習指導が子どもの興味を喚起し,理解を深めることにつながると期待していることが明らかになった。しかしながら,身近な素材を使った安価なハンズオン教材をいかに自国の学習内容と関連づけるかに問題を感じていることも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,平成24年度の研究成果を踏まえ,現職の小学校教員の教員研修を行い,身近な素材を使って,安価に観察や実験を子ども達に行わせることのできるハンズオン教材の開発と実際の授業での活用に関する問題点を明らかにすることを目的としていた。この目的を達成するための方法として,「空気と水」,「電磁石」,「てこと天秤」の授業をマレーシア,ペナン市内の小学校教員に実施し,どのようなハンズオン教材が効果的か,このような教材に対する問題点等を調査した。調査の結果,日本のハンズオン教材がフィリピンの初等教育においても効果的に活用することができることが明らかになった。ただし,母国の学習内容に適したハンズオン教材をいかに開発するかについては不安を抱いていることも示された。これらの成果を得ることができたので,研究は十分に進展しているもの判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,開発したハンズオン教材を活用した授業を開発途上国で実施し,教材の有効性について,形成的な評価を行うことによって観察や実験の実践的指導力を向上させるためにどのような教員研修が求められるかを明らかにする。具体的には,これまでの研究成果を踏まえ,インドネシアバリ島のガネーシャ教員大学において,教員志望の学生および現職教員を対象としたワークショップ形式の研修を実施し,開発したハンズオン教材の応用可能性について検討するとともに,practical workにおいて重視すべき学習活動がワークショップの前後でどのように変化するかを明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担者の一人が,配分された分担金の物品費の使用について,若干の計算ミスを犯した。年度末になって,17,577が残っていることに気づいたが,予定の物品を購入するには,不十分であるため,次年度に繰り越し,次年度に使用することにした。予算消化のために,特に必要でもない物品の購入を避け,次年度に予算を回したことが,次年度使用額が生じた理由である。 研究課題の性格上,研究代表者及び分担者は,昨年度,調査のために複数回にわたって海外に出張した。配分された分担金では旅費を賄いきれなかったので,校費等により補った。このような状況を上にあげた分担者は理解していたので,残った物品費を次年度の旅費として活用するために,残金を繰り越した。次年度使用額は,旅費として活用する予定である。
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Research Products
(2 results)