2012 Fiscal Year Research-status Report
今、新たな教養像の構築に向けて、教育哲学の果たすべき役割とは?
Project/Area Number |
24653229
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
天野 雅郎 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80151124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 彩子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10379604)
佐藤 和正 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20162414)
永井 邦彦 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50144639)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 教養教育 |
Research Abstract |
本研究の開始時と相前後して、折しも和歌山大学では教養教育の改革が始まり、この研究組織も単なる学部(教育学部)内の、課程(総合教育)やプログラム(文化研究)の枠を超えるものとなった。子細に言えば、研究代表者(天野雅郎)は和歌山大学の教養教育担当の副学長となり、新設のセンター(「教養の森」)の長を兼務することになったし、研究分担者の一人(永井邦彦)は昨年度、同センターの副センター長となった後、今年度からは教育学部長の職を引き受けるに至っている。 要するに、このようにして現在、和歌山大学では大学全体を挙げて、教養教育の刷新の取り組みが行われており、この研究組織が結果的に、その中心的な、主導的な役割を果たすに至っている。したがって、本研究が当初の目的として掲げた、教育と研究の双方向からの「教養像」の構築は、少なくとも教育面においては、予想以上の成果を挙げていることになる。 実際、和歌山大学では他大学に類を見ない、全学部・全学年の学生を対象にした、四年一貫型の教養教育のゼミナール(「教養の森」)も始まっているし、さらに「21世紀」問題群や「わかやま」学という名で呼ばれる、独自の教養教育科目も開設されるに至っている。 このような状況下で、本研究の母胎である文化研究プログラムも、同時期に生まれ変わった附属図書館の多機能空間(マルチ・ルーム、メディア・ルーム、等)を利用して、従来の教室中心の授業形態を脱皮した、新しい教育方法の創出と、教育内容の改善に努めており、本研究の遂行期間を通じて、より一層の成果を挙げるべく、今年度以降も斬新な、卓抜な取り組みを続けていく積もりである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べた通り、本研究の現在までの達成度は、当初の計画以上に進展している、と見做して差し支えはない。 ただし、そのような全体的な、実践面での達成度と並んで、理論面での達成度も歩調を共にするものとなりえたのか、と言えば、研究代表者や研究分担者の極度の多忙を差し引いても、それを肯うには不満足な成果である、と認めざるをえない。 研究代表者(天野雅郎)は、すでに理論面で二本の論文(教養の哲学、教養論ノート)を、和歌山大学教育学部の紀要に連続して発表してはいるが、研究分担者の論文は文化研究(カルチュラル・スタディーズ)に関わるものに留まっており、今後の研究成果の上梓が、期待される状態である。 今後は、下記の推進方策でも述べるように、より理論面に力点を置いた、私たちの国の「教養像」の歴史的考察を進め、これを研究組織の中で、お互いに検証し合うことが必要となるし、それを共同の授業の場を通じて、実践していくことも必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、和歌山大学のHP(「教養の森」)の中に、研究代表者(天野雅郎)は近代日本(ひいては、現代日本)の「教養像」の辿った道を辿り直す、一連のエッセイ(「教養」の来た道)を連載中である。 今後は、このような考察を研究分担者の成果と結び付けて、より全体的に、私たちの国の「教養像」の辿った歴史として、纏め上げる作業を推し進めたい。 そのためには、より一層、緊密な形で理論と実践が絡み合うことのできる、本研究のプログラム作りに取り組む積もりであるし、今年度は附属図書館(「クロスカル・センター」)とも連携し、和歌山大学の学生と教員と、さらに事務職員が選んだ、新しい時代の「教養書」目録を作成し、その成果を公表する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者(小関彩子)が、大学の休業期間を利用して、3月の終わりから4月の初めに掛け、フランスに資料収集のための渡航をした関係で、旅費が年度を跨って計上される結果となっている。 研究費全体の使用計画については、変更の必要はない。
|
Research Products
(5 results)