2012 Fiscal Year Research-status Report
自然観察場面における乳幼児間インタラクション成立にかかわる養育者の役割
Project/Area Number |
24653235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
椛島 香代 文京学院大学, 人間学部, 教授 (00383307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 葉子 文京学院大学, 人間学部, 助教 (90591842)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インタラクション / 乳幼児教育 / 母子関係 |
Research Abstract |
自然観察場面で乳幼児のインタラクション成立過程に養育者が果たす役割を明らかにすることを主な目的としている。初年次は、自然観察法、質問紙法により分析資料を収集し順次分析を行っている。その結果、現況では以下のような内容が明らかになった。 1、子育て支援施設を利用する親子の様子を自然観察法により行動観察記録を収集している。観察協力者による手記により親子のインタラクションについて記録が行われている。44事例が収集された。乳幼児の運動発達段階により保護者とのインタラクションは変化がみられる。今後、乳幼児の月齢、運動発達状況を重ねつつ、乳幼児の発達段階と母親の外界への動機づけに関するかかわりを抽出しそこから乳幼児がモノ、ヒトへのインタラクションをいかにして成立させていくのかを明らかにしていく。今後は、乳児においては運動発達段階に注目し、首すわり前、後、寝返り、はいはい、一人立ち、一人歩き、それぞれの段階で親子関係について観察を行っていく必要がある。 2、観察記録の補助手段としてビデオカメラの画像を活用する方法を模索している。現況では、乳幼児の安全面の確保と利用者への心理的ストレスを配慮し、カメラ設置場所に課題が残っている。今後さらに検討を重ね、観察フィールド全体の状況確認や対象児への母親以外の刺激の分析に利用したい。また、壁面や天井へのカメラ固定も含めて設置場所についても検討していく。 3、母親に対する質問紙調査を実施している。母親の育児不安や子どもとのかかわり、母親自身の他者とのインタラクションに対する意識や技能について調査を行い、母親の特徴と子どもへのインタラクション成立に果たす役割の特徴を関連づける。現在11事例を回収したが、今後乳幼児の月齢毎に分析を行うことも視野に入れつつより多くの事例を収集していく必要がある。聞き取り調査などより回収率を上げる方法に改善していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、乳幼児と母親のインタラクションについて、約40事例の観察記録を収集できた。この事例分析から母親の周囲の環境に対する興味・関心の度合い、乳幼児への応答性の高さが乳幼児に対する他児への興味喚起を促すことへ影響すると考えられる。今後は母子のインタラクションについて特に母親の行動に注目しつつ観察記録の収集を重ねたい。また、乳幼児の月齢、運動発達段階ごとに事例を分析できるよう乳幼児の発達段階に応じた事例数を確保できるよう工夫していく。 2、母親は乳児の運動発達段階によって外界への刺激づけが異なっている。月齢が低いほど身近なおもちゃなどモノへ関心を持たせる働きかけを行う。移動行動が可能になってくると全身運動を経験できるような斜面や歩行器へ誘導していく。ヒトへの関心の誘導はあまりみられない。 3、母親は子どもがモノに興味を持つとそれをさわらせるなど経験できるよう働きかけるがモノを持っている子どもに注目した場合でも同様である。つまり、子ども同士のかかわりがうまれるような働きかけに関しては比較的消極的であるといえる。2歳過ぎた子どもについて今後注目し、母親の働きかけについてさらに検討を重ねる。 4、母親への質問紙調査は、月齢別の事例数をそろえたり、さらに事例を増やすために方法改善を行っていく必要がある。聞き取り調査に切り替えより着実に資料収集を行うとともに、乳幼児の月齢毎に資料が集まるよう配慮していく。少ない事例であるが、母親の不安や悩みの内容は、子どもの発育発達によって変化している。今後、発達段階ごとに分析できるよう事例数を増やしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1、質問紙回収率を上げるために聞き取り調査へ変更する。それに伴い調査協力者のトレーニングを行う。また、手記による観察は継続する。新年度になり、調査協力者も変わる。より多くの事例数を確保するため調査協力者の募集方法を工夫し、施設開設時間帯ごとに観察者が確保できるような体制をしく。インタラクション分析のためのカテゴリを決定し分析を行う。 2、ビデオカメラ設置について、固定化の方向で検討を行う。大学施設をフィールドとしているため、大学および当該センターとの連絡、調整を行い、また利用者のプライバシー保護の倫理についても検討を行っていく。 3、観察対象である利用者に関しては現況では自然観察法によって記録収集を行っているため特に謝金が発生していない。今後の研究進捗状況によるが、観察協力者や母親への聞き取り調査を依頼する調査協力者への謝金に計上する。 4、研究成果の一部を学会で発表する。そのための旅費、交通費を計上する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、今年度研究成果の一部を学会で発表する予定である。そのための旅費、交通費を計上する。 2、カメラ固定についての物品費を計上する。また、観察者が補助的手段として利用するビデオカメラを保管するための保管庫を施設内に設置する。 3、人件費に関して資料収集に関しての協力者謝金とする。具体的には行動観察記録者、観察対象者への聞き取り調査協力者への謝金、および調査協力者への謝金である。 4、観察フィールドである子育て支援施設職員との合同会議、調査協力者との会議など月1回程度会議を行う予定であるため、会議費を計上する。
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