2013 Fiscal Year Research-status Report
自然観察場面における乳幼児間インタラクション成立にかかわる養育者の役割
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24653235
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
椛島 香代 文京学院大学, 人間学部, 教授 (00383307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 葉子 文京学院大学, 人間学部, 助教 (90591842)
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Keywords | インタラクション / 乳児の認知発達 / 母子関係 / 乳幼児教育 / 子育て支援 |
Research Abstract |
自然観察場面で乳幼児のインタラクション成立過程に養育者が果たす役割を明らかにすることを主な目的としている。初年次(平成24年度)は、自然観察法、質問紙法により分析資料を収集し順次分析を行った。平成25年度は継続して資料収集とその分析を行った。また、平成24年度の実績を学会で報告した。本研究では、現在以下のようなことが明らかになっている。 1、子育て支援施設を利用する親子を自然観察法により行動観察を行った。約100事例が収集された。乳幼児の運動発達段階により保護者とのインタラクションは変化がみられる。移動運動が未熟な乳児に対して母親は当該乳児の関心を引きそうな遊具を提示したり、音を出してみせたりする。乳児と視線をかわし、スキンシップを図ることも多い。乳幼児がはいはいなどの移動行動を獲得すると乳児の探索行動を見守り、一方で母親が望ましいと考える遊具を提示する。今後は、乳幼児の運動発達段階に注目し、首すわり前後、寝返り、はいはい、一人立ち、一人歩き、それぞれの段階で母親と乳幼児が外界へかかわるさいにどちらがイニシアティブをとり、また、乳幼児の関心萌芽に対して母親がどのように理解、受容、援助しているのかを分析していきたい。 2、母親が乳児の関心の萌芽をとらえようとする試みは少なく、母親主導で遊具や遊び場所を決めることが多い。また、他の母親と話しているときは乳幼児が移動したり、他のことに興味をもっても自分の近くにそのままいられるように働きかけることが多い。このようなことがあっても、乳幼児からは拒否などの抵抗は見られない。乳幼児は関心が次々に移り変わることもあり、親子の間ではトラブルになることは少ないと考えられる。さらに、周囲の同胞とつなぐような働きかけは、母親同士が知り合いでなければ殆ど見ることはできない。乳児は周囲で動き回る乳幼児を追視することも多いが、母親は注意を向けることは少ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、乳幼児と母親のインタラクションについて、約100事例の観察記録を収集できた。現在その分析に入っている。乳幼児の運動発達段階によって事例数に偏りがあるため、今後は不足している事例収集を中心に行う。 2、母親の意識調査を平成24年度に行ったが、回収率が非常に低く、約10事例のみである。月齢別の事例数をそろえたり、さらに事例を増やすために方法改善を行っていく必要がある。聞き取り調査に切り替えより着実に資料収集を行うとともに、乳幼児の月齢毎に資料が集まるよう配慮していく。行動観察により、母親は乳幼児の興味の方向を探ろうとする試みが少ないことが明らかになったので、母親が乳幼児とのかかわるときどのように留意点しているか、乳幼児の情緒や関心をどのように読み取ろうと努力しているかなどについても聞いていきたい。その際、育児中の母親は非常に時間をとることが難しいことを勘案して、施設へ来所した際に記入してもらったりヒヤリングを行うなど方法を工夫する。 3、母親は子どもがモノに興味を持つとそれをさわらせるなど経験できるよう働きかけるが、子ども同士のかかわりがうまれるような働きかけに関しては比較的消極的であるといえる。特に、自分の子どもが他児が使っている遊具に関心を示した時は、別な遊具に誘導するなど、トラブルにならないよう配慮する傾向が顕著である。研究開始時には母親がヒトへつなぐ行動について明らかにすることを主な目的としていたが、なぜこのような行動が少ないのかについても考察しながらこの点については資料を詳細に解析したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1、資料の解析を中心に進める。インタラクション分析のためのカテゴリを決定し分析を行う。分析にかかわって研究協力者を募り、記録の整理と分析を協力願う。分析観点については協力者会議を定例で行い、バイヤスや問題を解決して信頼性を高めるよう努力する。 2、資料解析に伴うソフトウエアを導入する。テキストの整理や数的処理に活用していく。 3、質問紙回収率を上げるために聞き取り調査へ変更する。それに伴い調査協力者のトレーニングを行う。また、手記による観察は継続する。新年度になり、調査協力者も変わる。より多くの事例数を確保するため調査協力者の募集方法を工夫し、施設開設時間帯ごとに観察者が確保できるような体制をしく。 4、観察対象である利用者に関しては現況では自然観察法によって記録収集を行っているため特に謝金が発生していない。今後の研究進捗状況によるが、観察協力者や母親への聞き取り調査を依頼する調査協力者への謝金に計上する。 5、研究成果の一部を学会で発表する。そのための旅費、交通費を計上する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に関しては、カメラ設置などの大掛かりな工事が発生せず、スタンドや観察者の手持ち撮影ですんだため、少額の支出にとどまった。資料解析用のパーソナルコンピューターは、観察フィールド近くに設置し、資料収集後にすぐにデータ化、また映像を確認できるようにした。人件費・謝金については、資料収集フィールドにおいて自然観察法で行ったため、観察対象者への謝金が発生しなかった(対象者への承諾は得ている)。もともと研究フィールドでは研究活動や学生の実習が行われており、本研究はその一部として進められている。利用者へは、利用開始時にあらかじめ研究に関しての承諾を得ているため、まさに自然な状態で観察を行うことができている。また、観察協力者への謝金が比較的少額ですんでいる。 物品費では、乳幼児の教材、玩具などを充実させその関心の萌芽を観察していく。また、数をコントロールするなどして子ども間に相互作用が起きやすい状況を生み出し、その行動に対して母親がどのように介入するかについてもみていきたい。また解析用のソフトを購入し、資料解析に役立てる。旅費・交通費は、研究の成果を発表するための学会参加に伴う旅費、交通費を計上する。今年度は、3回程度発表を行う予定である。同時に、研究会を定期的に行う。そのための会議費をその他より支出する。謝金・人件費では、資料の整理や解析に恒常的に研究協力者を募り、研究がよりスムーズに進むよう努力する。
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Research Products
(3 results)