2013 Fiscal Year Research-status Report
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24653242
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
市瀬 智紀 宮城教育大学, 附属国際理解教育研究センター, 教授 (30282148)
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Keywords | ユネスコ / 多文化教育 / 国際理解教育 / 持続可能な開発のための教育 |
Research Abstract |
平成25年度は、独立行政法人国際協力機構(JICA)東北と連携して、平成24年度の9月実施したに国際理解教育と開発教育の効果に関する調査の分析を行ない、国際理解教育学会において発表した。東北5県の47の学校(小中高等学校、中高一貫校、特別支援学校、教育委員会、専門学校、短期大学を含む)からアンケートの回答があったが、国際理解教育、開発教育事業が生徒に与えた影響の分析では、回答した92%の教員が、そうした活動を行うことによって、生徒に変化があったと「感じる」「やや感じる」と答えている。高校生のキャリアに与えた影響については、「国際協力や途上国支援のあるコースを進学先に選んだ」というような専門的志向を裏付ける回答はもとより、「進路と関係ないが、将来国際協力や途上国支援の分野で役立ちたいと考えている」、「進路とは関係がなく、国際協力について話題にするようになった」という割合も高かったことなどを明らかにした。 次に今日の日本の教育現場で行われる多文化教育の取り組みについて市瀬(2014)「学校教育におけるユネスコの価値・理念の受容に関する研究―基礎資料の整理―」において、歴史的な考察を行った。今日の学校現場の実践は、多文化理解(他国理解、異文化理解)、外国語学習、開発教育(途上国支援、国際協力)、多文化共生教育、持続可能な開発のための教育、という5つほどの教育内容に分けてとらえられるが、これらは、戦後の国際理解教育の主要な取り組みの影響をうけ、それを反映しているということにほかならない。これらの研究成果をもとに、多文化理解からESDに至る教育の融合したグローバル教育のあり方について、市瀬智紀「国際理解教育と持続可能な開発のための教育(その①その②)」『文部科学教育通信』No.329・330号、 2013年12月9日・23日、30~31頁、28~29頁において提案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、①多文化教育、持続発展教育の実践に関連する学校文書・報告書、県庁の政策文献等の文献調査、②実践記録の分析(大学やNPO団体が行った、多文化教育の実践記録、映像記録などの分析)、③学校、大学、NPO、行政に対する質的調査・量的調査の研究からなっていた。①については、平成25年度に文献調査を実施し、多文化教育、持続発展教育の実践に関連する学校文書・報告書、政策文献等収集した。その成果として、市瀬(2014)「学校教育におけるユネスコの価値・理念の受容に関する研究―基礎資料の整理―」において報告を行った。②の研究成果については、多文化理解からESDに至る教育の融合したグローバル教育のあり方について、市瀬智紀「国際理解教育と持続可能な開発のための教育(その①その②)」『文部科学教育通信』No.329・330号、 2013年12月9日・23日、30~31頁、28~29頁において報告を行った。 ③については、平成24年度中に、JICA東北の協力が得られ、小中高等学校(教育委員会や短期大学を含む)47校を対象として、量的調査、質的調査を完了した。平成25年はその分析を行い、7月に国際理解教育学会において、この質問紙調査の結果をまとめて発表した。平成26年度は、残された研究項目としての「震災後の地域の学校現場における国際連携と国際理解にかかわる研究」を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、①多文化教育、持続発展教育の実践に関連する学校文書・報告書、県庁の政策文献等の文献調査、②実践記録の分析(大学やNPO団体が行った、多文化教育の実践記録、映像記録などの分析)、③学校、大学、NPO、行政に対する質的調査・量的調査の研究から構成される。①②③は順調に調査研究が進んでいる。平成26年度は、残っている課題として、2011年3月11日の東日本大震災以後地域で進んだ国際連携と国際交流について、学校の記録をもとに傾向を分析して報告することと、3年間の研究の全体を総合して提案することである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物件費のうち、印刷にかかわる機材の購入を計上していたが、平成26年度に機材を購入し、最終報告としてまとめることにした。 人件費・謝金のうち、調査にかかわる人件費の支出がある。平成24年と平成26年に謝金をともなうデータ分析を行うこととし、平成25年度は、研究代表者が時間をとって自分で分析を行ったため。 平成26度は、報告書作成のため印刷にかかわる物件費を支出する。 平成26年度は、残っている課題として、2011年3月11日の東日本大震災以後地域で進んだ国際連携と国際交流について、学校の記録をもとに傾向を分析して報告するため、平成25年度未使用であった調査にかかわる人件費を支出する。
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