2013 Fiscal Year Research-status Report
特別支援教育におけるパートナーシップ原理モデルの確立に向けた比較教育学的研究
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24653246
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
河合 康 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90224724)
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Keywords | 特別支援教育 / パートナーシップ原理 |
Research Abstract |
平成26年度は、外国研究として、イギリスの特別支援教育におけるパートナーシップ原理の実態・課題を明らかにした。具体的には、 「1981年教育法」以降の法令でパートナーシップ原理に関する規定がどのように運用されてきたのかを、政府の統計資料、新聞や雑誌の記事、関係団体の報告書等を手がかりに明らかにした。また、1980年代以降に生じた「判定書」をめぐる「特別な教育的ニ-ズ裁定委員会」の裁定、オンブズマン提訴事例及び裁判所における判例の分析を行い、パートナーシップ原理に関する規定がどのように適用されてきたのかを検討した。 日本研究では、大学を対象に、特に発達障害学生に焦点を当てて、大学と卒業後の進路先とのパートナーシップ原理の状況について調査を行った。国公私立合わせて177大学の職員からの回答を分析した結果、「事務局、保健管理センター、学生相談室、障害学生支援室につなぐ、または連携して支援する」、「ハローワークの利用をすすめる、または連携して支援する」、「ジョブカフェ、地域若者サポートステーションの利用をすすめる、または連携して支援する」等の支援は大学が比較的行いやすい事項であることが明らかにされた。その他、「発達障害のある学生を主たる対象とした(または配慮した)個別のキャリア相談」等の発達障害のある学生に対する個別の支援も比較的行いやすいことが指摘された。 その一方で、「発達障害のある学生を主たる対象とした、企業が大学に来て行う企業説明会の開催」、「卒業した発達障害のある学生を主たる対象とした、企業が大学に来て行う企業説明会の開催」、「卒業した発達障害のある学生を主たる対象とした就職ガイダンス・就職に関するセミナーや講座」、「卒業した発達障害学生を主たる対象とした資格取得に関する講座や支援」等は大学が行いにくい支援であり、今後、こうした点への取組が課題であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、予定した計画の8割は終了しており、残りの2割については平成26年度に繰り越したが、研究実施の準備は平成25年度に完了しているため、最終年度に研究目的を達成することは可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、外国研究として、途上国におけるパートナーシップ原理の実態・課題を明らかにする。対象国はインドネシアとし、実施時における政情等を踏まえていずれか一方の国を選定し、内容は、①CBR(Community Based Rehabilitation)の実情、②障害児教育に関する実情及び現状認識、③障害児教育とCBRとの関連及びパートナーシップ原理を推進する上での課題、等を明らかにする。 日本研究としては、学校及び関係機関においてパートナーシップ原理が機能している場面の実態及び当事者の意識を明らかにする。具体的には、生涯学習における連携、医療分野との連携、福祉分野における連携、について調査を行う。 最後に、最終年度として、3年間の研究の総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた調査研究の2割を次年度実施としたため。 福祉関係機関における特別支援教育をめぐるパートナーシップ原理の調査を行う。
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