2012 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本におけるアメリカナイゼーションと女性知識人の社会学的研究
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24653248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲垣 恭子 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40159934)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 女性知識人 / アメリカナイゼーション |
Research Abstract |
本研究は、戦後日本における女性知識人の社会的顕在化とその拡大・変容の過程を、アメリカナイゼーションと関連づけながら社会学的な角度から明らかにすることを目的としている。より具体的には、「アメリカ帰り」の女性知識人が脚光を浴びる1950~60年代を中心に、女性知識人の量的拡大とジャーナリズムとの接近によって特徴づけられる1970~80年代、知識人とアカデミズムの衰退する1990年代以降について、それぞれの時期に活躍した女性知識人(文化人)の特徴について分析し、戦後日本における女性知識人の社会的位置と役割を明らかにすることが課題である。 初年度にあたる今年度は、主として学術・総合雑誌、女性向け総合雑誌等の論壇メディアに登場する女性知識人に関する資料の収集と全般的な特徴について分析した。具体的には以下のような分析・検討を行なった。(1)戦後日本のアメリカナイゼーションと知識人に関する先行研究、文献の収集と知見の整理(2)占領期に創刊・復刊された代表的な女性向け雑誌(『婦人公論』『女性改造』『婦人朝日』等)の執筆者・記事内容の分析と検討 (3)総合雑誌(『世界』『中央公論』『文藝春秋』)における女性執筆者と記事内容の分析と検討。 以上の分析の結果、戦前期から継続して活躍している女性知識人・文化人と戦後になってから活躍しはじめた女性知識人・文化人では、教育歴、活動領域、メディアなどに違いがあること、とくにアメリカ帰りの女性文化人が戦後日本のアメリカナイゼーションの表象として重要な位置を占めていたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画に基づいて研究を進めることができた。戦後日本の論壇メディアを中心として活躍した女性知識人・文化人の傾向について整理し、その教育歴、活動領域や社会的背景について概観することができた。次年度以降、具体的な人物に絞って研究を進めていく土台ができた。対象とする人物についてのおおまかな経歴についても把握できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の研究成果を土台にして、戦後日本社会で活躍が顕著であった人物を選定し、個人史を含めてより詳細な分析・検討を行なう予定である。主として、戦前期にアメリカ留学体験をもつ女性知識人に焦点をあてて、その社会的軌跡を跡づける。なかでも、戦前・戦中を通して25年間の滞米経験をもち、戦後日本の論壇やテレビなど幅広くメディアで活躍した石垣綾子について、個人資料を収集しつつ詳細に分析・検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、収集した文献・資料のうち、学内で調達できたものがかなりあったことと、分析対象とした総合雑誌の目次集成が利用できたことによって、資料収集費、資料整理謝金に余裕が生じた。次年度は、主としてアメリカ留学経験をもつ女性知識人についての資料収集及びインタビュー調査にあてる。石垣綾子関連の資料については、個人資料の収集およびインタビューに関連する費用(国内旅費、資料費、謝金)、アメリカにおける資料収集(外国旅費、資料費、謝金)として、次年度分と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(5 results)