2013 Fiscal Year Research-status Report
青年海外協力隊に参加した現職教員の意識変容に関する研究
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24653251
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
小野 由美子 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20177273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 聡 広島大学, 教育・国際室国際交流グループ, 研究員 (50524443)
前田 美子 大阪女学院大学, 教養学部, 教授 (70454668)
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Keywords | 多文化教育 / 国際協力 / 異文化理解 / 異文化感受性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原職教員特別参加制度を利用して青年海外協力隊(JOCV)として途上国に派遣された経験を持つ現職教員を対象に、異文化体験をどのように意味づけしているのか、それは時間や経験とともにどのように変化するかを探求することである。 前年度に続き、平成25年度も新規派遣隊員から研究協力者を募り、定期的なアンケート調査を実施した。また平成24年度派遣隊員のうち、カンボジア、ザンビア、南アフリカ派遣隊員については、研究分担者が派遣先を訪れ、活動先の環境やカウンターパートとの関係などについても情報を収集した。 データの分析枠組みとして、Mezirowの変容的学習理論のほか、異文化感受性発達理論(the Development Model of Intercultural Sensitivity:DMIS)に着目した。これは大きく自文化中心主義から文化相対主義に分けられ、それぞれにいくつかの段階が設定されている。異文化経験によってより多元的な文化の見方ができるようになることが理想であるが、かならずしも、直線的に発達していくわけではない。この理論的枠組みを用いて、これまでに収集したデータのうち、カンボジアのA隊員のケースを分析した。それによると赴任後半年たった第3回の調査で、旅行者から生活者へと視点が変容していることがうかがわれた。また第3回以降の調査への回答からは、「違いの受容」段階に達していることをうかがわせるコメントが見られるようになった。A隊員の場合、青年海外協力隊参加以前から、「何かを学び取る」という意欲、姿勢が見られ、異文化体験から様々なことを受け入れる準備ができていたのではないかと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者への継続的質問紙調査、フィールド調査、理論モデルの検討など、順調に進展している。カンボジアのA隊員の事例についてはスカイプによるインタビューも実施できたことから、かなり詳細なデータを集めることができたことから、論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度1次隊員は平成26年3月に帰国している。夏季休業中に鳴門に集まってもらい、それぞれの異文化体験について共有するワークショップを企画している。また、帰国後の時間の変化による異文化体験の意味づけの変化についても注目している。さらに、平成25年度隊員の質問紙調査を継続し、共通点と相違点を見ていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地の隊員の日程と出張日程のすり合わせが困難であったため。 早めに日程を調整して対処する。
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