2013 Fiscal Year Annual Research Report
喪失のケアに携わる、音楽によるスピリチュアルケア実践者養成のための基礎的研究
Project/Area Number |
24653257
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Research Institution | Elisabeth University of Music |
Principal Investigator |
里村 生英 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 准教授 (90235432)
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Keywords | スピリチュアルケア / 音楽 / 臨床実践 / 被災者支援 / エンドオブライフ・ケア |
Research Abstract |
本研究は、「リラ・プレカリア(祈りのたて琴)」(一般社団法人日本福音ルーテル社団主催、以下LPと略)の参加観察と資料収集を通して、養成講座の特徴と実践活動への反応を明らかにし、これらを、現代のスピリチュアリティの学術的論考に照らしながら、今後の日本のケア現場で、音楽を介してスピリチュアルケアサービスを行う、実践者養成のための課題を提言することを目的として計画された。 本年度の調査・研究は、以下の4点に集約される。1.LPの社会奉仕活動の実地調査。具体的には、LP修了生による、高齢者福祉施設におけるプレゼンテーションならびに東日本大震災被災者支援としてのパストラル・ハープ実践の取材、及び、実践協力責任者と実践者へのインタビュー。2.H24年度に取集した資料とデータの整理と分析。3.文献及び学会出席による、スピリチュアルケアの現在に関する資料収集と課題分析。4.米国文献:J.L.Hollis著『Music at the End of Life』(2010)の翻訳。 上記1~4によって、得られた成果は以下の通りである。1)LPにおける理論と実践の統一性の実証。具体的には、①実践に養成講座の趣旨と教育内容が反映されている、②実践協力管理者側に、スピリチュアルな志向性をもった実践としてパストラル・ハープを導入している認識がある、③実践者自身が、実践の意味と自身の成長を自覚している、以上の実態が明らかになった。2)LPの設立経緯、パストラル・ハープの本質、養成教育のカリキュラム構造の解明により、スピリチュアルケアの一つの概念が想定された。3)課題の一つとして、日本のスピリチュアルケアは、終末期医療に特化していることが確認された。4)米国と日本では、実践の臨床現場への導入課題と現場スタッフの反応に共通性があることが確認された。 なお、以上の成果は、整理・統合して、二つの学会で発表された。
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