2012 Fiscal Year Research-status Report
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24653270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤田 雅文 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50021449)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 記憶力 / 教材開発 / 老化 / 小学児童 |
Research Abstract |
代表者は、高齢者における認知能力の低下軽減を目標として、見たこと聴いたことを記憶する能力を対象にしたトレーニング法の開発研究に携わってきた。本計画は、このトレーニング法を小学児童に応用して、授業の受け皿としての、見たこと聴いたことを記憶するために働く神経回路(以下、受け皿回路)の活性化を実現する教材の開発を期したものである。戦略としては、受け皿回路は多様な要素回路の集合体ゆえに、まず、高齢者において要素回路を抽出して、種々検討した上で、児童に適用し、その結果に基づいて、要素回路毎にトレーニングする教材を開発する手順となる。H24年度には、要素回路の抽出およびトレーニングを意図して多数の課題を開発したが、その中から主な課題三点について述べる。 (1)見たことの記憶力の評価には、スクリーンに映った画像を記憶し、スクリーンと縦横同比率の枠内に描き出す課題を開発した。 (2)聴いたことの記憶力の評価には、相互に関連した写真数枚を、各々に付随した一文と共に提示して、その記憶を文脈に基づいて順に書き出す課題を開発した。 (3)見たことと聴いたことの両者同時の記憶力の評価には、写真一枚とその解説文を同時に提示して、写真の記憶は(1)と同様に絵で答え、解説文の記憶は、特定の言葉を複数のピー音として隠した文で聴き、ピー音部分の言葉を埋める課題を開発した。 この結果、(1)では、基準となる点や線の空間位置および奥行きのある被写体の遠近変化を表現する部分の認知度を念頭に置いた課題が、(2)では文脈の背景に語り手の思いを含んだ課題が、(3)では写真の一部と密接に結びついた解説文を工夫した課題が、各々の要素回路の個人評価に適切であることがわかった。 以上の結果には、記憶力のみではなく、集中持続力、注意振分力などの前頭前野主導の回路の活動レベルも大きく関わることを踏まえて、さらなる開発を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画立案時には、高次脳機能のトレーニング課題を開発するための高齢者対象の講座が一つであったが、本研究計画が採択される前に、高齢者対象の講座が縁あって二つになった。この結果、トレーニング課題の開発研究は飛躍的に進んだが、高齢者での開発の結果に基づいて実施する予定でいた小学児童対象の研究計画の開始は遅れざるを得なかった。しかし、現実として、H25年度より十分な準備が整った形で小学児童対象の研究をスタートできるので、本研究計画の本来の目的のためには、より良い計画変更であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者対象の各務原市および一宮市での講座に加えて、これまでに実施実績のある蘇原第二小学校の児童および保護者対象の脳の講座を定期的に行う。研究の推進方策は、H24年度と同様である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
講座開設のための会場の借用費用。 講座で使用する資料の準備(写真撮影、PC処理、文献調査など)に関連する費用。 講座で使用する映写装置、音響設備の整備費用。
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