2012 Fiscal Year Research-status Report
複数性をキー概念とする政治的リテラシー育成小中一貫プログラムの開発研究
Project/Area Number |
24653276
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桑原 敏典 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70294395)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 教育学 |
Research Abstract |
本研究は、我が国の公民教育の改善を目指し、小・中学校の社会科授業で活用可能な政治的リテラシー育成プログラムを開発しようとするものである。プログラム開発に当たっては複数性をキー概念とし、特定の価値や理想を前提とするのではなく、多元社会において人々が討論を通して理想を追求する過程を政治と捉え、そのような活動に関わることができる有為な市民の育成を目標とする。具体的には、(1)複数性を基盤とした小・中学校段階で身に付けるべき政治的リテラシーの体系化、(2)政治的リテラシー育成のためのカリキュラム・フレームワークの構築、(3)小学校・中学校で活用可能な政治的リテラシー育成のための教育プログラムの開発等の課題に取り組んでいく。 平成24年度は、これまでの政治哲学研究の成果の検討と、従来の政治教育論や教材の収集と分析に取り組んだ。 政治教育の基本的概念の吟味と再定義のため、アーレントに関する文献を中心に政治学の文献を収集、分析した。そのうえで、従来の政治教育において取り上げられてきた基本的概念について、その意味を複数性の視点から検討した。 政治的リテラシーの再編、系統化のため、アメリカの政治教育論(ウォルター・パーカーら)、英国のシティズンシップ教育論(バーナード・クリックら)を参考に、政治的リテラシーの概念について検討した。特に、英国のシティズンシップ教育論について、その現状と論争点を把握するためにヨーク大学で開催された、シティズンシップ教育に関する学会に出席し資料収集を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに、政治学の成果に基づく政治教育の基本的概念の吟味と再定義と、政治的リテラシーの再編、系統化のための政治教育の成果の分析は終了しており、その成果について国内外の研究者との情報交換も行っている。カリキュラム・フレームワーク構築に向けて順調に事業は進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度に明らかにした政治的リテラシーの体系にそって、義務教育段階の政治教育のカリキュラム・フレームワークを構築し、具体的なプログラム開発に取り組む。具体的には、(1)政治的リテラシーの育成を目指したカリキュラム・フレームワークの構築、(2)小・中学校で活用可能な政治的リテラシー育成プログラムの開発、(3)プログラムの試行・改善と研修会の実施等の事業の遂行、及び準備を進める予定である。 (1)については、基本的概念の再編・体系化の作業の成果を活かし、政治教育の内容編成を行う。(2)については、カリキュラム・フレームワークの構築と並行して、小学校、中学校用の教育プログラムを異なる学年において開発する。(3)については、小学校・中学校において実験授業を行い、その有効性を検証するとともに、現職教員対象の研修会を実施し、プログラムの実用化を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・資料(教材及び文献)収集:100,000円 ・資料収集旅費:100,000円 ・成果報告(海外)旅費:300,000円
|