2013 Fiscal Year Research-status Report
中学校図形の証明における「変数性」・「定数性」をもつ図の役割
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24653279
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
風間 喜美江 香川大学, 教育学部, 教授 (00552374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 是浩 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (00030479)
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Keywords | 図形命題 / 図の変数性 / 図の定数性 / 証明活動 / 図の役割 |
Research Abstract |
本研究は,図形の証明することの意味やその理解についての指導研究,および,そのための教材開発を2つの視点:「図の変数性」と「図の定数性」(文字の役割と対比させた視点)から行うことにある。次の5点について研究計画を立てた。①文献研究と考察 ②図の変数性・定数性に関する実態調査問題の作成と実施・分析 ③教材開発 ④指導実践 ⑤教材開発の妥当性とまとめ 平成25年度は研究計画の③④を中心に研究を行った。指導実践を図形の証明を本格的に取り扱う中2「平行四辺形といろいろな四角形」とし,教材開発を行った。中2教科書分析から,図形命題と図の関係は,「A文章のみ,B文章と(文章とは独立した添え)図,C文章の内容に依存した図」に大別できることがわかった。その図の役割の違いから指導計画にC→B→Aを意識した教材を組み込み指導案を作成し,授業実践を試みた。実践校は香川大附属中学校,実践者は研究代表者(風間)である。また、指導前の生徒の実態を把握するプレテスト,指導後の生徒の変容を図るポストテストを作成し実施した。授業実践は,12時間3クラスである。授業はすべてビデオに撮り,授業分析のための準備を整えた。授業分析,プレ・ポストテストの分析の詳細は次年度となるが,授業中の生徒の反応から次の把握ができた。 ・実践当初の命題の添え図は固定されたもの(定数性としての図)と見ていたが後半は仮定にそった図はいろいろあることを掴んできたこと ・命題の図の理解が証明のヒントとして働いていたこと
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」に示した通り,研究目的に対し,研究計画①~⑤を立てた。平成25年度の計画は,③教材開発 ④指導実践であった。この計画の実施は,内容が示す通り今年度の目標は充分に達成された。成果は次の研究発表会等で発表した。 ア.「証明活動における図の役割」第55回近畿数学教育学会,2014年2月22日(於:兵庫教育大学ハーバーランドキャンパス) イ.『「数学を学ぶ意味」を実感させるための教師のかかわりあいのあり方』第14回学部・附属学校園合同研究集会,2014年2月27日(於:香川大学教育学部) ウ.『「数学を学ぶ意味」を実感させるための教師のかかわりあいのあり方』香川大学教育学部附属教育実践センターニュース,2014年3月31日 アに至るには,調査に関しては「プレ・ポストテスト問題の作成,調査依頼,調査実施,プレテストの回答分析,意図した調査に沿った分析集計,集計結果の考察」,授業に関しては「指導計画・指導案の作成,授業実践,授業記録起こし,授業分析」と量的にも質的にも幅の広く深い内容であった。図形指導に悩む中学校教師,研究者らから,「図の変数性」という新しい視点で図形指導を考察する斬新さと図形指導の切り口に対し,多くの反応があり,図形指導の一助となる発表として認められた。 イ,ウに関する内容は,研究計画④の授業実施の中のレポートによる課題と生徒の反応である。授業実践の中で,10~14日の期間を設けレポート課題に取り組ませた。レポートの内容は,「証明の一般性を意識できるようなもの」,「ひとつの図をどう読み取り新しい図を考えるようなもの」であった。どちらも図の読み取りが深くでき探究する生徒の反応が紹介でき,現場教師から好評を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24,25年度の成果を受けて,今後の研究課題は次の点にある。 ○「図の定数性」「図の変数性」の概念を文字式と対比させその概念や,証明学習における視点として明らかにする。 そのために,授業において証明活動の内容を明らかにし,教師が目標とする授業活動項目を分析し定め,授業分析を行う。また,プレテスト・ポストテストの分析を行い生徒の変容を明らかにする。・生徒の反応によっては,さらなる分析のために,面接を行い,その回答の内容を確認する。・証明に使う言葉の精選化の過程の指導,効果的な言語活動について検討する。・文字式の指導体系と連動させ,証明活動における「図の変数性」「図の定数性」の概念を明らかにし指導の体系を考察する。 ○「図の定数性」「図の変数性」の考えを証明指導に位置付け,証明指導の質的向上のための提案をする。 ・現場の先生方との意見交換をしながら,新しい図形の証明指導の提案を作成する。・授業の実際を想定し,より洗練した指導案を作成し,その提案をする。
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