2012 Fiscal Year Research-status Report
作業療法士と小学校教員のコラボレーションによる学級経営に関する研究
Project/Area Number |
24653297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
山西 葉子 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (30423627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 玲子 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30180011)
永吉 美香 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (30582374)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 協働 / 特別支援教育 / 作業療法 |
Research Abstract |
<目的>本研究は、多様なニーズを持つ小学校児童の実態把握を行い、作業療法士(以下OT)が継続的な教員へのコンサルテーションを通して、学級経営を行い、OTと教員の協働による新しい学級経営、授業経営の効果を明らかにすることを目的としている。 <対象>平成24年度は、地域の公立小学校3校の各通常学級3クラスの担任及びその在籍児童を対象として実施した。 <方法>初回面接で教員のニーズを聞き取り、介入授業を決定し、授業観察を行うこととした。1~2週間に1度の割合で授業観察を行い、観察後は担任と面談を行い、児童の状態の把握と、授業計画について意見交換を行った。効果判定指標としてはカナダ作業遂行測定(以下COPM)、楽しい学校生活を送るためのアンケートQ-U(以下Q-U)、面談記録および、インタビュー記録を用いることとした。 <結果>公立小学校3校にて介入を行った。介入期間は平成24年11月から3月の5ヶ月間であった。各学校OTが1名ずつ担当した。A校はアンケート調査の受け入れに時間を要し、Q-Uの実施が1回のみとなり、比較検討ができなかった。各学校の訪問回数は8回~11回であった(3校平均8.7回)。Q-Uを介入前後で比較すると、B校、C校ともに要支援群の児童が減少し、生活満足群の児童が増加した。COPMの結果は、B校、C校の教員ともに遂行度、満足度とも2ポイント以上上昇し、今回の介入に対する一定の効果を得ることができた。介入後のインタビューの結果からは、教員の声かけや、児童への対応の仕方に対して客観的なアドバイスがり、非常に役立ったとの意見が挙がった。また、継続的な訪問により、アドバイスを具体的に授業に取り入れることができ、その成果を相互に確認することができたという共通の意見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学校通常学級へ介入し、担任の先生と協働して目標を共有し、学級経営に生かしていく実践を行うこは達成できた。予備的に取り組みを実施したことで、訪問の頻度、面談の実施形態、個別の児童へのアセスメントの必要性を確認することができ、25年度の研究遂行への重要な手がかりを得ることができた。しかし、協働する上での重要な要素、効果的な他職種連携のあり方の要因分析、学級経営を実施するための要因の分析についてはまだ検討が進んでいない。25年度の取り組みも合わせてhyper Q-Uのデータの統計処理と半構造化面接のインタビュー内容を質的に分析することで、これらの要因について明らかにしていきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果を受け、実施方法、効果判定指標の修正を行い、実施したいと考える。小学校通常学級3学級に介入を予定している。5月に学級全体にhyper Q-Uを用いて学級の状態をアセスメントする。教員に対し、COPMを実施しニーズの把握を行う。9月頃、介入前hyper Q-U、COPMを実施する。介入期間は平成24年度の介入方法と同様に、約5か月間とし、その1~2週間に1度の訪問、コンサルテーションを実施する。児童個別の評価が必要な場合は、随時School AMPSを実施し、個別の実態把握を行う。介入後に担任に対し、半構造化面接を実施し、学級経営を効果的進めるために必要な要素、外部機関との連携の在り方について検討したいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小学校訪問、データー収集のために交通費、また、hyper Q-U等学校経営、学級経営に関する講習会、学会参加のための交通費、宿泊費を使用予定である。経費として学級のアセスメントに必要なhyper Q-Uのデーター分析費用を使用予定である。また特別支援教育、ユニバーサルデザインの学級経営に関する書籍、統計に関する書籍等は最新の情報を得るために重要な資料となるため、計上したいと考えている。統計処理費必要なSPSSのソフトを購入し、データ分析処理を行いたい。
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