2014 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある子どもの東日本大震災における実態と必要な支援に関する研究
Project/Area Number |
24653300
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
渥美 義賢 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育情報部, 上席総括研究員 (90143552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹森 洋樹 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 企画部, 総括研究員 (40419940)
梅田 真理 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育情報部, 総括研究員 (50529138)
廣瀬 由美子 明星大学, 教育学部, 教授 (90321596) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 発達障害児 / 防災教育 / 福祉避難所 / PTSD / 心理学的ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国において災害が起きる可能性は低くない。特に平成23年3月11日に起きた東日本大震災は、被害が非常に大きく、今後にも起きる可能性がある震災に備えてこの経験を防災に生かすことが必須である。東日本大震災において障害者の死亡率が健常者の約2倍であったことは、災害弱者である障害者の防災と被災時・後における支援が一層充実されなければならないことを示している。本研究はその中で発達障害児に焦点をあてて、東日本大震災時における発達障害児の実態と、それに基づいた今後の防災教育と被災時・後の支援のあり方を明らかにすることを目的とした。 当初は、被災地における発達障害児およびその保護者へのアンケート調査を予定していたが、被災地において聞き取り調査を進める中で、被災地は多くのアンケート調査を受け、できるだけこれに答えるように努力する中で、アンケート調査への疲労感と軽度ながら拒否感があることが分かった。このため、調査は被災地における聞き取り調査委によって行った。 その結果、震災前の防災教育はほとんどの場合、発達障害のある子どもの実態を十分に考慮された形では行われてこなかったことが分かった。このためもあり、地震及び津波の際には、その危険性の認知が一部の発達障害のある子どもでは十分に出来ず被災した例がみられた。避難の際には、福祉避難所の設置がまだ不十分で、しかも老人施設が主に担っていたことから発達障害のある子どもの避難所としては十分に機能しなかったことが多かった。また、発達障害のある子どもの一部、特に自閉症のある子どもでは、PTSDによるパニックの頻発などの後遺症が長く続き、改善が困難な場合のあることが分かり、発達障害のある子どもに特化したPTSD等への長期的な視点にたった心理的ケアの重要性が明らかになった。
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Research Products
(1 results)