2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 隆雄 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00312794)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(フランス) / モチーフ / Weil 相互律 |
Research Abstract |
Voevodsky の構成したモチーフの三角圏を,ホモトピー不変で無い対象まで扱えるように拡張する研究を,Bruno Kahn 氏および斎藤秀司氏と共同で行った. Voevodsky の圏が持つ重要な性質として,この圏における拡大群で Bloch の高次 Chow 群という代数的サイクルの理論における中心的研究対象が計算できるということが挙げられる.しかしながら,この理論はホモトピー不変な性質しか扱えないというという点で不十分である.実際,曲線のモジュラス付きピカール群という古典的な対象ですらホモトピー不変性を満たさない.本研究は,モジュラス付きピカール群のようにホモトピー不変でないモチーフを扱える理論の構築することが目標である.このプログラムにおける基本的な指針は,ホモトピー不変性をより弱い条件である Weil 相互律で置き換えるという Bruno Kahn 氏のアイデアである.昨年度,Bruno Kahn 氏と私の共同研究で得られた結果は,この指針の下で得られたはじめてのまとまった結果である. Voevodsky の理論における技術的な鍵の一つは,幾何的に構成された圏を「ホモトピー不変性を満たす移送付き前層」を用いて構成した圏に埋め込んだことにあった.後者は前者よりもずっと柔軟であり,多くの場面で計算が容易になる.今年度の研究では,これを一般化した「Weil 相互律を満たす移送付き前層」(相互前層)の基礎理論を整備していった.具体的な結果として,相互前層の Zariski 層化は相互前層となり,開埋め込みに対する単射性条件を満たすこと,そのコホモロジーは Zariski 位相と Nisnevich 位相で一致することなどの(基本的ながら高度に非自明な)事実が証明できた.しかし,そのコホモロジーが相互前層となることが証明できず,まとまった結果には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の欄に記したように,基礎理論を整備するという本研究の目的に沿った研究成果が順調に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,本研究のテーマについてワークショップを開催することを計画している.そこでは関連した研究を行っている研究者を国内外から招待し,議論を行う機会を設ける.また,これまで通り Bruno Kahn 氏との共同研究を継続する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
台湾国立交通大学の Yifan Yang 氏を東北大学に招聘する計画を立てていたが,やむを得ない事情で氏の訪問は延期され,昨年度内には実現できなかった.今年度のできるだけ早い時期にそれを行うつもりである.
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