2013 Fiscal Year Research-status Report
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24654001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 隆雄 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00312794)
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Keywords | モチーフ / 代数的サイクル |
Research Abstract |
Voevodsky は混合モチーフの導来圏にあたる三角圏を構成したが,その際「ホモトピー不変性」という性質を基礎に置いていた.しかし,曲線のモジュラス付きピカール群のようにモチーフ論における基本的な対象でホモトピー不変性を満たさないものは多い.これらを扱えるような理論を構築することを目標として,Bruno Kahn 氏および斎藤秀司氏と共同で研究を行った.基本的な指針は,ホモトピー不変性をより弱い条件である Weil 相互律で置き換えるというKahn 氏のアイデアである.Voevodsky の理論においては「ホモトピー不変性を満たす移送付き前層」の圏が重要な役割を果たしたが,その一般化である「相互前層」の概念を定義して,その基礎理論を整備した.具体的には以下の結果が得られた.まず,モジュラス付きピカール群が一般ヤコビ多様体で表現されたように,モジュラス付きの Chow 群を表現する相互前層が存在することを示した.これはモチーフ理論における新しい重要な研究対象であると期待される.また,可換代数群で表現される層,およびホモトピー不変な移送付き前層は相互前層であることも証明した.さらに,Kay Ruelling 氏によって Kaehler 微分形式の層やde Rham-Witt 部分形式の層も相互前層であることが示された.最後に,相互前層の Zariski 層化は Nisnevich 層化に一致して相互前層となること,開埋め込みに対する単射性条件を満たすことなどが証明できた.また,Ivorra と Ruelling は相互関手のテンソル積にあたる(と期待される)群を定義していた.その特別な場合を Ruelling 氏との共同研究で計算した.以上の結果はそれぞれ論文にまとめられ,専門誌に投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の欄に記したように,基礎理論を整備するという本研究の目的に沿った研究成果が順調に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,国内で数論幾何をテーマにした研究集会を開催する計画である.そこでは関連した研究を行っている研究者を国内外から招待し,議論を行う機会を設ける.また,これまで通り Bruno Kahn 氏との共同研究を継続する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
台湾国立理論科学研究所(NCTS)の Yifan Yang 氏を訪問する際,滞在の一部が新年度にかかった.(つまり,年度をまたいで出張した.)そのため,費用の一部は今年度に繰り越された. 今年度の4月上旬までに,上記した出張の旅費として使用する.
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