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2013 Fiscal Year Research-status Report

グレブナー基底理論によるカスプ特異点の研究

Research Project

Project/Area Number 24654003
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

石田 正典  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30124548)

Keywordsトーリック多様体 / カスプ特異点 / グレブナー基底
Research Abstract

トーリック多様体の理論を用いて構成される孤立特異点として土橋宏康によって導入されたカスプ特異点がある.これは 2 次元以上 の実空間に与えられた凸開錐とこれに作用する整数行列からなる群を与えることにより構成される. 総実代数体から構成されるヒルベルトモジュラーカスプ特異点がその例である.それ以外のものも多くあると考えられるが,見つかっている実例は多くはない.一つの構成法として,星状化可能錐の鏡映群の部分群から作る例が 3 次元と 4 次元の場合にある.新たな例を構成するために双曲空間の幾何学との関連を調べ始めている.
高次元,特に 4 次元以上ではカスプ特異点の実例の構成に困難さがあり,例を与えることは容易ではない.凸体に作用する群を与える古典的な方法としていくつかの鏡映変換で生成されるコクセター群がある.今年度はカスプ特異点を与える無限コクセター群について考察し,いくつかの結果が得られた.特に,星状化可能錐から得られる 4 次元カスプ特異点の場合,これが双曲空間の無限コクセター群の 1 つであることが示された.
このようなカスプ特異点の研究に計算機を用いる可能性についても引き続い考えた.特に,局所環の生成元や定義方程式を調べるには多項式環のイデアルを調べるのに有効なグレブナー基底の手法がカスプ特異点の計算にも応用できるものと考えられる.不変式環のグレブナー 基底の類似については,多項式環の部分環についての SAGBI 基底と同様に,有限性は期待できない.しかし 2 次元の例を考えると, 定義方程式の確定などの問題を具体例を用いて研究することにより困難を乗り越える有効な方法を見つけ出すことは可能と予想でき, その方向で研究中である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

カスプ特異点の局所環の埋入次元や定義方程式の確定は微妙で困難を伴う.これら局所環の構造を決定する手段として,多項式環に おけるイデアルの計算に強力なグレブナー基底の手法を持ち込むことを考えた.元来グレブナー基底は多項式環のイデアルに対して定 義されるものなので,この手法をを特異点の局所環に用いることは多くの困難が予想されるが,局所環が半群環の群の作用による不変 式環としての記述が可能であることを用いて困難は克服できるものと考えて研究している.カスプ特異点の記述する T 複体については,定義を形式扇として拡張した.これによりカスプ特異点を任意の体上で可能となった.また同様の構成ではあるが孤立特異点でない場合の記述も可能となった.

Strategy for Future Research Activity

SAGBI 基底の類似として不変式環であるカスプ特異点の局所環を記述する必要がある.多項式環についてはたとえ部分環が有限生成であっても,その SAGBI 基底は有限とは限らないことが知られている.多項式環の場合と同様に半群環の離散群による不変式環の SAGB I 基底と同様のものについては有限性を期待できない.しかし,開錐と格子点の交わりである半群の無限生成性に比べて,不変式環の 完備化は本質的に有限生成なので,SAGBI 基底の無限性は深刻ではなく,有限表記できるものから有限表記できるものを除いた形にするなど工夫により克服できるものと考えられる.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である.平成 26 年度請求額とあわせ,平成 26 年度の研究遂行に使用する予定である.
研究集会などに参加して最新の研究成果を交換し,必要があればこの研究に関連した書籍を購入して研究を行うが,研究の進展を見な がら高次元のカスプ特異点を中心とした研究へ重点を移していきたい.また初年度と同様に関連した研究を行っている来日中の外国人を含む国内の研究者を東北大学に招いて講演を依頼したり討論を行い研究に役立てる.なお,この調書では外国旅費は計上していないが,外国での研究成果発表あるいは調査研究が必要となった場合は,国内旅費の外国旅費への振り替えを行うこともあり得る.旅費は前年度と同様の 90 万円程度とし,研究発表のための機器やプリンタも購入する予定である.その他パソコン等の機器の購入は予定していないが,研究における必要に応じて購入することもあり得る.

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] The moduli space of Catanese-Ciliberto-Ishida surface2013

    • Author(s)
      Masanori Ishida
    • Journal Title

      Osaka J. Math.

      Volume: 50 Pages: 115-133

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] カスプ特異点を記述する形式扇の導入2014

    • Author(s)
      石田正典
    • Organizer
      第 2 回杜の都代数幾何学研究集会
    • Place of Presentation
      東北大学大学院理学研究科
    • Year and Date
      20140109-20140110
    • Invited

URL: 

Published: 2015-05-28  

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