2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 隆 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422391)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第二主要項 / 密度定理 / 整数論 / 指数和 / 国際情報交換,米国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な成果は,概均質ベクトル空間に伴って定まる多次元のガウス和を計算する単純な方法を見出したことである.この方法を適用して,いくつもの概均質ベクトル空間に対し,ガウス和を計算することができた. 本研究課題において第二主要項の導出のためにもっとも重視する道具は,概均質ベクトル空間のゼータ関数である.上述のガウス和は,概均質ベクトル空間のゼータ関数の関数等式に現れる係数である.第二主要項の導出のために,この係数の一様評価は重要な問題になる.実際に研究代表者は,概均質ベクトル空間が2変数3次形式の空間の場合のガウス和の計算結果から,3次体の密度定理の第二主要項を導出していた.このときはベクトル空間が4次元と小さく,ガウス和を定義に基づいて直接計算することができたが,ベクトル空間が大きく複雑になると,直接計算することはできなくなる. 今回開発した手法によって,効率が大幅によくなり,より複雑な空間に対しても計算ができるようになった.そして,複数の場合において,通常のガウス和の理論で期待される「平方根キャンセル」よりもよい評価が成立していることが分かった.これはあまり予期されていなかったことなので,興味深いと考えられる.また,値の評価にとどまらず具体的な値が計算できたことで,概均質ベクトル空間のより精密な構造を把握できた可能性がある.少なくとも,ゼータ関数の関数等式を具体的に記述したり,その量の関係を考察したりすることができるようになった.これも意味のある成果だと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二主要項の導出のために必要な概均質ベクトル空間のガウス和について,新しい計算方法を見出すことにより,これまでは難しかった場合の計算が系統的にできるようになったため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在10個程度の概均質ベクトル空間に対してガウス和の計算ができているが,今後さらに複雑な空間に対しても研究を押し広げていく.また,第二主要項の導出に必要な評価が得られたので,第二主要項の研究も進める.
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Causes of Carryover |
研究費を効率的に使用し,残額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
米国からFrank Thorne 氏(University of South Carolina)を招聘し,研究打ち合わせを行う.研究集会を開催し,これまでの成果を総括し,さらなる発展に向けて研究討論を行う.
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