2014 Fiscal Year Annual Research Report
高次元時空内の事象の地平線とラグランジュ・ルジャンドル特異点論
Project/Area Number |
24654008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127422)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 世界面 / 時空 / 焦点集合 / ラグランジュ特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、ミンコフスキー時空内の超世界面と呼ばれる超曲面に付随する焦点集合を記述するための、幾何学的枠組みの構成と、3次元ミンコフスキー時空内の世界面の場合に焦点集合のジェネリックな分類を与えた。ここで、超世界面とは、時空内の時間的超曲面で、その上に余次元1の葉層構造が付随しているものである。相対性理論の世界では、時間が一定という概念が存在しないので、全ての存在がいつも動いていると考えられる。実際、我々の目の前にある固定された物体は、実際には地球の自転、公転さらには銀河自体の回転により常に動いている。さらには、そのような運動がなくとも、時間方向につねに動いていると考えられ、時空内の物体を記述するためには必然的に世界面が考えられる。さらに、最近の素粒子物理学の発展により、我々の存在する宇宙自身が高次元の時空内に存在する世界面(膜宇宙)であると考える物理的理論がある。この超世界面に付随して、物理学者のBoussoとRandallはそこから発する光線(重力とも考えられる)の族が構成する焦点集合が重要な役割を担うことを指摘している。平成26年度における研究成果として、このBoussoとRandallによって提唱された、焦点集合の概念が、古くから知られている通常の焦点集合と同様に、シンプレクテイック幾何学におけるラグランジュ特異点として記述される事を示した。ただし、通常の焦点集合とは異なるラグランジュ部分多様体に対応しており、実際、3次元ミンコフスキー時空の場合の焦点集合の特異点の型は3次元空間内の通常の焦点集合の特異点の型とは違う事を示した。この研究成果は、ミンコフスキー時空と言う、無重力状態の場合に記述されているが、一般の重力を持つ時空内の場合のモデルとして意味を持つと思われる。
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