2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田丸 博士 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50306982)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カンドル / 対称空間 / 部分多様体 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、離散的対称空間論の構築に向けて、対称空間論とカンドル代数の双方の研究を連携させながら行うものである。平成24年度の研究実績は以下の通りである。 (1) リーマン幾何学における二点等質の類似をカンドル代数に対しても定義し、元の個数が素数であるような二点等質カンドルの分類を与えた。この結果自体は前年度に得られていたものだが、今年度はその議論を整備し、論文として出版されることが決定した。 (2) 二点等質カンドルであるための十分条件として巡回型カンドルという概念がある。研究協力者と共同で、元の個数が少ない巡回型カンドルの分類を与えた。この内容をまとめた論文を現在執筆中である。 (3) リーマン対称空間に関して、その部分多様体に関する研究を進展させた。そのうちの一つは、球面内のある種の等径超曲面を運動量写像を用いて記述するものである。この内容は、リーマン対称空間内の部分多様体の結果としても興味深いが、リーマン幾何的なデータを用いずに部分多様体を記述するため、離散化に向けても大いに参考になる結果だと考えている。この結果は、共著論文としてまとめられ、現在投稿中である。 (4) リーマン対称空間内の部分多様体と、リー群上の左不変計量のモジュライ空間の関連を調べた。特に、対称空間への群作用の軌道空間を用いて左不変計量のモジュライ空間を記述し、また特別な場合には左不変計量の性質と部分多様体の性質が極めて良く対応することが確かめられた。これらの内容についても、関連する論文二編を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称空間論とカンドル代数の双方についての研究を行った。対称空間論に関しては、当初の目的はおおむね達成している。特に、その部分多様体に関する研究成果は、それ自身も興味深いものであり、かつ、離散化に向けても重要な意味を持つと考えている。カンドル代数に関しては、計画しているが取り掛かれていない研究があり、少し遅れていると思われる。しかしそれは、その前の成果を論文としてまとめるために時間が掛かっていることが大きな理由であり、特に計画に齟齬が生じている訳ではない。まとめると、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き対称空間論とカンドル代数の双方の研究を並行して行う。対称空間論に関しては、主に部分多様体に関する研究を進める予定だが、特に、離散化することを意識した設定を重視する予定である。カンドル代数については、これまでに得られた二点等質および巡回型の部分的な分類定理を基にして、一般的な主張を導くことを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、研究打ち合わせのための出費が大きな部分を占める。特に、研究代表者および研究協力者の出張旅費、研究者を招へいするための旅費、および、研究集会やセミナーを開催するための旅費・人件費・会議費として、次年度の研究費を使用する予定である。
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Research Products
(12 results)