2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654012
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田丸 博士 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50306982)
|
Keywords | カンドル / 対称空間 / 部分多様体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,離散的対称空間論の構築に向けて,対称空間論とカンドル代数の双方の研究を連携させながら行うものである.平成25年度の研究実績は以下の通りである. (1) 昨年度までの研究により,リーマン幾何学における二点等質という概念の類似をカンドル代数に対して定義し,その研究を行ってきた.二点等質のための十分条件として,巡回型という概念がある.今年度は,元の個数が少ない巡回型カンドルの分類結果を整備し,論文としてまとめた.論文は,連携研究者および研究協力者との共著であり,現在投稿中である. (2) 複素双曲空間内のある種の超曲面に対して,誘導計量がリッチソリトンとなるものを分類した.これは対称空間内の部分多様体に関する結果であるが,ある意味で特徴的な部分多様体を捉えていると思われるので,離散化に向けても参考になるものと思われる.この結果は,研究協力者と共同で得られたものであり,論文としてまとめて投稿中である. (3) 対称空間内の全測地的曲面に関する研究を行った.特に AI 型と呼ばれる特殊な対称空間に関する研究を行い,分類の手法を与える定理を示し,それを用いて回数が低い場合に明示的な分類結果を得た.この結果も,研究協力者と共同で得られたものであり,論文としてまとめて投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カンドル代数と対称空間の双方についての研究を行った.対称空間論に関しては,多くの結果を既に得ることができている.さらに,それらの結果の多くは群作用の言葉を用いて記述されているため,離散化に向けて大いに参考になると思われる.カンドル代数に対しても,巡回型に関する結果を論文としてまとめることができており,さらにいくつかの研究が現在進行中である.カンドル代数の構造理論が確立するところまでは進んでいないが,当初の計画以上に進展していると考えてよいと思われる.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き対称空間論とカンドル代数に関する研究を行う.対称空間に関しては,現在の研究を継続する.特に,これまでに得られた全測地的曲面に関する研究を一般の状況に拡張する.カンドル代数に関しては,現在「平坦」の概念を定式化することができており,その条件をみたす具体例も分かっていることから,それに関する研究を推進する.対称空間の一般論から考えると,カンドル代数の構造定理においても「極大平坦部分空間」は極めて重要な役割を果たすと期待される.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の出張計画および研究集会開催計画を鑑みて,当該年度でにおける使用を若干控えたことから,次年度使用額が生じた. これまでと同様に研究代表者および研究協力者による研究発表や研究連絡のための旅費として使用し,さらに10月には広島大学に於いて例年より規模の大きい研究集会を主催する.特に,韓国および中国における国際研究集会に参加し研究発表を行うので,その旅費として使用することを予定している.
|
Research Products
(15 results)