2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩瀬 則夫 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (60213287)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | A∞構造 / higher associativity / Associahedra / Multiplihedra / homotopy unit / strict unit / hopf unit |
Research Abstract |
今年度は代数的な取り扱いを行う前提となるべき、位相的な状況での、30 年来の未解決問題に肯定的な解決を与えることができた。 1983年に発表した修士論文の作成の上で大きな障害となり、これを回避する為に多大の努力を払うことを余儀なくされた $A_{\infty}$ 構造の位相的な単位元に関する未解決の問題を直接に考察した。その当時の回避方法とは、空間及び写像の $A_{\infty}$ 構造の定義として二種類の見かけ上異なる定式化を与え、二つの定義が同値かどうかについての判定は一時 pending としたことである:一方は非常に強い、いわゆる厳密な単位元を要請するものであるのに対して、他方は大変緩い、いわゆるホモトピー単位元しか要請せず、大きな flexibility を持つ。 すなわち、ホモトピー単位元しか持たない $A_{\infty}$ 空間に対して、この空間とホモトピー同値であって、かつ厳密な単位元を持つ $A_{\infty}$ 空間が存在するというものである。さらに、このホモトピー同値を与える写像は $A_{\infty}$ 構造をホモトピー論的に保存する、いわゆる $A_{\infty}$ 写像となることもわかる。その一方で、Lurie により、今回得られた結果の代数的類似が成立することが announce されている。 もちろん、その中間に位置するものとして、厳密な単位元をホモトピー論的に弱めた定義を構築することも不可能ではないし、実際に、深谷・小野・Oh・太田により、その代数的な類似物が提出されているし、また、Muro・Tonks により、その位相的定義も announce されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代数的な議論の構築は遅れているが、その代わりに幾何的な枠組みに対する基本的かつ重要な進展が得られたものと考えている。これにより、技術的な回避方法などを経由することなく、真正面からA∞構造の代数的な議論を進めることが可能になったと考えている。さらにまた、今年度の研究により、A∞圏のアイデアが代数的位相幾何学の中に持ち込むことが可能になったと考えており、方向性は若干違ってきているが、非常に大きな進展が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、元々の代数化を求めるというスタンスは変わらないが、むしろより圏論的に扱うという方策を考えており、その為のアイデアとして、圏論で良く現れる quiver という概念に代えて、bicoalgebra を考え、さらに恒等射を併せ持つ precategory という概念を、基点を持つ位相空間の圏論的な相似物と考えるというアイデアが挙げられる。その中でA∞構造を新たに考察することが可能になる。 一方で昨年度に得られた成果である単位元の問題に対しても、空間に対してだけでは、勿論、不十分であるという認識を持っており、当然のことながら写像についても同様な結果が成り立つべきである。これについてもさらに推進して行きたい。これには、また、Muro やTonks らとも Multiplihedra に対するホモトピー単位元について情報の共有を行うことが重要な方策となると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヨーロッパでの研究集会に出席し、また日本で行われるメキシコとの共同研究集会にも参加し、さらに情報収集に努めると共に、今年度後半にも再度2ヶ月程度のヨーロッパ滞在を計画している。その為、研究費の大部分を旅費に充てることになる。
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Research Products
(14 results)