2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654017
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
橋本 義武 東京都市大学, 工学部, 教授 (20271182)
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Keywords | 4次元多様体 / 暗黒エネルギー |
Research Abstract |
平成25年度におこなったのは主に次の3点である. (1)ソボレフ空間論.本研究の目的である非コンパクト4次元多様体上のゲージ理論を展開するために,ソボレフ空間論を改めて見直すことが必要になってきた.ソボレフ空間とは,関数のなすベクトル空間であって,関数とその導関数の大きさが制御されているようなものである.従来のソボレフ空間論の大域解析への応用においては,コンパクト多様体の場合,あるいは非コンパクト多様体でも無限遠の挙動が制御しやすい場合が主であった.本研究では,宇宙の加速膨脹や暗黒エネルギーの理解を目標としているため,非コンパクト多様体であって無限遠での増大度が大きい場合を扱う必要がある,その場合,無限遠での増大度の設定によってソボレフ空間が大きく変わってくるというデリケートさがある.そのため,ソボレフ空間論の構成における微妙なポイントにも注意を払う必要がある,そこで,ソボレフ空間論の基礎的部分の一つ一つにおいて何が本質的に効いているのかを整理する作業をおこなった. (2)非コンパクト多様体の微分幾何.非コンパクト多様体上の大域解析をおこなう上で,宇宙の加速膨脹や暗黒エネルギーの研究に応用できるような出発点となる適切な設定が何であるかを明確化することが重要な課題である.適切な設定が何かを知るためには,非コンパクト・リーマン多様体,非コンパクト・ローレンツ多様体の良い例,その上での諸不変量が計算可能な例を参考にする必要がある.現在そのような良い例を多く扱っている分野として,超曲面の非等方的エネルギーと非等方的平均曲率一定超曲面の理論がある.この理論の観点から膨脹宇宙モデルを見直す作業をおこなった. (3)多様体の退化.共形場理論における曲面の退化の研究を進めた.これはAGT予想により4次元ゲージ理論にも関係している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幾何学的観点からのソボレフ空間論の理解について進展があった.また,非コンパクト・リーマン多様体,非コンパクト・ローレンツ多様体については,非等方的エネルギーの概念と非等方的平均曲率一定超曲面の豊富な例に出会えたことにより,方向性を絞ることができた.共形場理論における曲面の退化の研究も難点をクリアしつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
非等方的エネルギーの概念に基づいた,非コンパクト・リーマン多様体,非コンパクト・ローレンツ多様体上のソボレフ空間の理論の基礎を,その問題意識とともに明確化し提示したい.その際,基本的な非コンパクト多様体の例に対する計算をおこないたい.そのために,非等方的平均曲率一定超曲面の研究者とも交流していきたい.共形場理論における曲面の退化の研究も完成に向けて進めていく.
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