2013 Fiscal Year Research-status Report
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24654018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西浦 廉政 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (00131277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 敬 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40382543)
小布施 祈織 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (90633967)
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Keywords | 自己組織化 / トンネル現象 / 反応拡散系 / 流体 / 応用数学 / パターン形成 |
Research Abstract |
TSO(Traveling Spot with Oscillatory tail)のスリット通過における回折現象のパラメータ依存性を調べた。とくにスリットの幅及び高さの変化に対するスポットのダイナミクスの挙動を調べた。 多くのパラメータ値に対してスリット通過後は、初期値分布は一様分布であるにもかかわらず、軌道のクラスタリングが起こり、スポットが到達できない領域が生まれ、TSOのスリットとの干渉作用による波動性の出現が確認された。 一方、TSM(Traveling Spot with Monotone tail) のスポットに対しては、このような挙動は見られず、2つのクラスにおける挙動の違いは明確となった。同時に極めて興味ある解として、スリット付近での跳ね返り解、またスリットの間に留まる拘束された解が数値的に発見された。この拘束解が安定なpinningされた周期解であるかどうかは現在数値的に検証中である。以上の数値計算は予想より長時間計算となったため、加速化のため計算コードの改良も実施した。これらのダイナミクスを解析的に証明するために、常微分方程式への帰着のための準備を実施した。実際、システムサイズがスポットサイズより十分大きい時は、スポットの位置に関する運動方程式が導出できる。 具体的な導出に際しては、ドリフト分岐点の特定、そこでの線形化作用素の固有関数の形状計算などが必要となる。とくに共役作用素の固有関数形状は、縮約された常微分方程式の平衡点の位置やその安定性の判定において重要な役割を果たす。これらの諸量の計算の為の準備を行った。 この縮約系方程式の解明により、上に述べたpinning解などの判定も可能となると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロな散逸粒子系TSOに対して、ミクロで観察されるような量子的性質のマクロ版とも言える現象が数値的に検証されたことは大きい。さらにスリット近くでの跳ね返り解やスリットの間に留まる周期解も数値的に発見されたことは極めて興味深い。さらに解析的にはドリフト点近くでの有限次元常微分方程式への縮約に必要なデータが準備できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.単独TSOの反射実験およびスリット実験の相図作成の継続:これまでの両側スリットだけでなく、片側スリット、またスリットなしの壁での反射等の挙動についても数値的に検証する。 2.スリット近傍での跳ね返り解、スリットの間に留まるpinning解について、その安定性などの性質の検証を数値的並びに次の項目3の縮約系の解析により解明していく。 3.不均一場におけるTSOのダイナミクスの縮約方程式の導出:ドリフト分岐点近くでの有限次元縮約方程式を導出し、数値実験で得られた結果の定性的説明と同時に、項目2で挙げた興味ある特殊解の存在証明も試みる。 以上3つの課題を中心に行うが、とくに項目3に集約して研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H26年度は本萌芽研究の最終年度のため、One-day workshopを開催する。それに必要な予算を確保するため。 主たる使途は代表者と分担者間の研究打ち合わせおよび、One-day workshop開催の為の旅費:仙台-札幌、旭川-札幌、仙台-東京等に使用予定。また一部数値計算補助の謝金に使用する予定。
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Research Products
(3 results)