2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (50334917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降籏 大介 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80242014)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有限差分法 / ベクトル値 / 非線形偏微分方程式 / 構造保存 / 幾何学的構造 |
Research Abstract |
非線形偏微分方程式を数値計算する際、単純に精度やスピードを重視した離散化を行い、数値計算するとしばしば元の方程式の解と異なる性質を持つ数値解が計算されてしまうことがある。そこで、方程式の持つ重要な数学的構造に着目し、これを継承するような離散化手法が重要となる。常微分方程式やある種の保存則をもつ偏微分方程式については従来よりその観点からの研究がなされており、また、散逸構造を持つ非線形偏微分方程式についても、その変分構造を保存するような離散化手法が開発され、この10数年で理論が開発・整備されてきている。しかし、そこでは工学的にはよく現れるベクトル値偏微分方程式についてはほとんど研究がなされていない。本研究では、工学的によく現れるベクトル値非線形偏微分方程式やその連立系を対象とし、そのベクトル値の解が持つ幾何学的構造に着目した離散化を考えた。研究期間1年目の本年度は、強磁性体中の電子のスピンの運動を記述するランダウ・シフシッツ方程式や、流体中の渦糸の運動を局所誘導近似して得られる数理モデルについて研究を行った。これらの方程式の解は、球面上に値を取るという幾何学的構造を持ち、かつ、あるエネルギー等式を満たすことが知られている。本年度はランダウ・シフシッツ方程式に対してこれらの構造を継承する差分スキームを考え、それを解くための長さ保存反復法を提案して、それらの誤差解析を行った。また、渦糸の局所誘導近似モデルについては、その接ベクトルが満たす方程式がハイゼンベルグ方程式になることに着目し、幾何学的構造およびエネルギー保存則を両方を継承する差分法の提案を行い、発表および論文化を行った。また、これに対する誤差評価も行い、現在その成果の論文化を行っている。また、以上の結果を内外の学会等において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画していた内容として、2つのモデル方程式についての解析を行った。この内容は引き続き研究中であるが、当初の予定を概ね実行できていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究を引き続き継続し、幾何構造保存型数値解法の研究を行う。また、現在はベクトル値の単独非線形偏微分方程式を扱っているが、工学に現れるモデルにはベクトル値偏微分方程式が複数カップリングしたモデル方程式系が現れる。これについての研究もスタートする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの成果の発表、および、共同研究者や関連する研究者との打ち合わせのため、主に旅費として研究費を使用する。また、成果発表のための論文印刷代や、専門知識の供与のための謝金も使用する。
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Research Products
(7 results)