2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654026
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム工学部, 准教授 (50334917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降籏 大介 大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80242014)
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Keywords | 数値計算スキーム / 非線形偏微分方程式 / ベクトル値 / 構造保存 / 幾何学的構造 / エネルギー構造 |
Research Abstract |
本研究では、非線形偏微分方程式のもつ数学的構造に着目して、それを継承する離散化を提案し、その離散スキームの解析を行った。通常偏微分方程式の数値計算では精度等を重視して離散化を行うことが多いが、それによる数値解が元の方程式の解と異なる挙動をもつことがある。この問題の解決法の1つとして、方程式の持つ重要な数学的構造に着目し、これを継承するような離散化手法が研究されてきた。しかし、工学的な問題においては、ベクトル値偏微分方程式や複数の方程式が連立されている問題がよく出現するが、これらに対しては、統一的な研究はほとんどなされていない。本研究では、このような工学的によく現れるベクトル値非線形偏微分方程式やその連立系を対象とし、そのベクトル値解が持つ幾何学的構造およびエネルギー構造の両方に着目して、これらを継承する離散化を考えた。本年度の成果は以下である: 1.局所誘導モデル(流体中の渦糸の運動モデル)に対する構造保存型差分スキームについての理論解析を進めた。現在論文準備中である。 2.液晶の運動モデルの1つであるEricksen-Leslie方程式系に対する構造保存型差分スキームの提案、および、この提案スキームの理論解析を行った。この方程式系は、液晶の配向ベクトルの運動を記述するベクトル値非線形方程式と流体の運動を表すNavier-Stokes方程式がカップリングした方程式系であり、本研究では、長さ保存性、エネルギー構造、流体の非圧縮性の3条件をすべて考慮した離散化を行い、誤差解析等の理論解析を行った。現在投稿準備中である。 3.ベクトル値微分方程式などに対する解析手法を理論的に構築するテーマにおいて, その第一段階の準備として,スカラー値であるが非線形性の強い偏微分方程式に対して 弱非線形化を目的とする緩和手法について研究をすすめ,具体的な計算結果を得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度実行した研究を継続して2年目は、提案した離散スキームの理論的解析を終え、現在これらの論文の投稿準備をしており、概ね順調と判断できる。また、新たな問題への展開もスタートしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間の研究を継続し、ベクトル値偏微分方程式特有の数学的構造、特に幾何学的構造に着目し、数値計算スキームの開発とその理論的解析を進める。また、昨年度後半より、これまでの対象とは異なる幾何学的構造をもつベクトル値偏微分方程式の離散化についての研究を開始した。3年目はこれらの研究も遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が発生した理由としては以下が挙げられる:(1)予定していた海外出張が家族の体調不良により取りやめにせざるを得なかったこと。(2)(1)と同様に、海外から研究者を招聘する予定を取りやめたこと。 次年度は、これまで予定してた出張等を実行するため、予算を使用することになる。また、関連する研究を行っている研究者を招聘したワークショップを開催する予定である。
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Research Products
(6 results)