2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654027
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
三村 昌泰 明治大学, 先端数理科学研究科, 教授 (50068128)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 能動的集合 / 走化性 / individual-based model / 特異極限 / 流体力学極限 |
Research Abstract |
これまで自ら分泌する集合フェロモンによって能動的に集合形成する生物の挙動をマクロレベルから偏微分方程式モデルから研究を展開して来た。特に、チャバネゴキブリの集合フェロモンによる集合形成を記述するマクロレベルとして走化性-拡散モデルを提案した.これに対して自然な疑問として、ミクロレベルでの個体は走化性効果にどのように反応しているかが考えられる.これに対して、先ず、個々の個体の運動を記述する個体モデル(Individual-based model)を提案した。こうして、マクロ、ミクロ両レベルから2つのモデルを提案したが、問題はその間の関係である。ここでは2つの極限化を行なうことで、両者の間がつながることが正当化されたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでマクロモデルは偏微分方程式の分野で、ミクロモデル統計物理学,数理生物学の分野で独立に扱われていたが、その間の関係はというのは自然な疑問である。今回はチャバネゴキブリの走化性による集合形成に対して、反応拡散系理論、確率解析で展開されてきた2つの極限解析を用いてその間の関係を明らかにした。すなわち、マクロレベルの走化性―拡散モデルに対して、近似反応拡散方程式を特異極限法から導出し、そしてその系に対して、流体力学極限法を用いることから、ミクロレベルの個体モデルを導出することが出来た(研究発表[6])。このことから、当初の目的はおおむね達成できたが,生物界には,様々なタイプの走化性を持つことから集合形成を行う生物が観察されている.例えば、大腸菌のコロニーパターン形成である.実験から、細胞の走化性に対する運動が、チャバネゴキブリと異なることが報告されていることから、この問題が次の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)これまでの結果は、走化性-拡散モデル(マクロモデル)→ 近似反応拡散系(マクロモデル)→ 個体モデル(ミクロモデル)の手順で行ったが、走化性-拡散モデルから直接個体モデルが導出出来ないかと考えており,それには流体力学極限の更なる理論が要求されるので、その分野の専門家である舟木直久氏(東大)との共同研究が必要である.これを推進したい。 (2)大腸菌の走化性によるコロニーパターン形成のマクロモデルは研究代表者とその共同研究者によってすでに構築されており、そのミクロモデルの導出そしてそのシミュレーション解析を行う。そして2つのモデルの関係を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ミクロレベルでの個体モデルの数値シミュレーションを専門とする若い研究者を雇用するために、使用したい。
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