2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24654027
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
三村 昌泰 明治大学, その他の研究科, 教授 (50068128)
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Keywords | 自己組織化 / 能動的集合 / 走化性 / individual-based model / 特異極限 / 流体力学極限 |
Research Abstract |
自己組織化機能を持った生物集団が作る集合形態にはいくつかの特徴が現れる。その理論解明に向けてモデルからの理解が数理生物学分野のみならず数理科学の分野においても進められている。自己組織化による集合であることから,様々なレベルでのモデリングが行われている。マクロモデルは主に偏微分方程式の分野で、ミクロモデルは統計物理学,数理生物学の分野で独立に構築されている。しかしながら、自己組織化機能を理解するためにはレベル間の関係を明らかにすることが重要であり、それを進めるためには分野横断的な考察が必要であろう。今回課題とした研究は,集合フエロモンを分泌するチャバネゴキブリが、その物質濃度の高い方向に移動するという走化性によって能動的に集合を形成することに注目した。そのために、まず、個体を扱うのではなくて、個体密度を未知変数とするマクロレベルの記述として走化性―拡散モデルを導出し,そこに現れる集合パターンをマクロな視点から論じた。一方、このモデルと独立にミクロレベルから個体の増殖、運動を記述する個体ベースモデル (Individual-based model) を導出した。シミュレーション結果から,両モデルからかなり満足すべき結果が得られたが、両モデルの関係は明らかではなかった。そこで、走化性-拡散モデルに対して特異極限法を用いることからそれを近似する近似反応拡散系が導出できた。これより、この反応拡散系に対して、確率解析の分野で展開されている流体力学極限法を用いることが可能となり、両モデルのつながりが明らかになったのであった。このように、2つの異なる分野で開発された2つの極限法を相補的に用いることから、当初の課題はおおむね達成できた。更にこの結果はもっと広い数理生態学の問題にも応用することが出来た。
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Research Products
(6 results)