2013 Fiscal Year Research-status Report
超離散化手法によるデジタル-アナログ-ハイブリッド数理モデルの構築
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24654028
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50188025)
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Keywords | セルオートマトン / 超離散化 / 束 / パターン / デジタル / 確率モデル |
Research Abstract |
本年度は,(1)パターン生成を行う方程式のデジタルモデルの解の構造の研究,(2)確率変数を伴うデジタル粒子系の解析,(3)初期値問題によるセルオートマトンの分類,の3点に絞って研究を行った. まず(1)の『パターン生成を行う方程式のデジタルモデルの解の構造の研究』では,束の演算で記述された2次元デジタル方程式について,平面曲線の概念を導入し,平面曲線にしたがうパターンとしてどのようなものがあるかを解析した.さらに,そのようなパターンの領域接続について問題点を整理し,パターン生成メカニズムについての一般的な手法を一定のレベルまで確立することに成功した. (2)の『確率変数を伴うデジタル粒子系の解析』では,3近傍から5近傍までの確率変数を伴う粒子セルオートマトンについて,それらをすべて統合する確率変数モデルの導出に成功し基本図の解析を行った.この際に,条件付き確率法則に準ずるような仮説を設定し,数値計算によってその正しさの検証を行い,基本図の理論式の導出に成功した. (3)の『初期値問題によるセルオートマトンの分類』では,束の演算で定義される3近傍,時間1階の方程式に対して,初期値問題に対する一般解の導出を試み,一般解が多項式オーダーの複雑度を有するようなタイプの方程式について分類を行った.また,この成果を初等的セルオートマトンに適用し,従来行われてきた解の定性的分類とは異なる,解の構造に踏み込んだ分類に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,デジタルとアナログのハイブリッドモデルを構築することが最終目標であり,そのためにはデジタルモデルを方程式と解の形でいかに表現し解析するかが焦点となる.これについては本年度で得られた知見が大きく,研究目標に対する一定の達成を実現している.しかしながら,デジタルモデルとアナログモデル,すなわち離散系と連続系をつなぐ共通の数理的な仕掛けに対する基本的アイデアについては,未だ模索中の段階である.これについて一定の成果が出れば最終目標の実現に大きく寄与するので,この点にも着目しながら研究を進めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
『現在までの達成度』において述べたように,デジタル-アナログハイブリッドモデルの構築のためには,離散系と連続系の共通の数理的メカニズムの発見が必要であり,そのための数学理論の構築が必須となる.モデル自体は方程式の形で与えるので,よく知られた連続系の理論(微分方程式論など)を参考にしながら,離散系の理論の開発が必要となる.このために,今後もまずはデジタル方程式に関する数理的研究に重点をおきながら,さまざまな系について方程式の立場からの解の理論の構築を行う予定である.それらがある程度収束した段階で,連続系との共通化をはかり,ハイブリッドモデルの基本設計の段階に入る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議での報告を次年度に行いたく,今年度の余剰分をその補助に充てる. 7月に開催されるイギリスの国際会議にて講演を行う予定である.
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[Presentation] ビットの解析学2013
Author(s)
高橋大輔
Organizer
2013年度 首都大学東京 数電機シンポジウム
Place of Presentation
首都大学東京南大沢キャンパス
Year and Date
20131208-20131208
Invited
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