2012 Fiscal Year Research-status Report
五角対称性をもつ直線構造体の特異な力学的幾何学的性質
Project/Area Number |
24654029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 助教 (40247820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 宏枝(國府宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
伊藤 敏和 龍谷大学, 経済学部, 教授 (60110178)
辻上 哲也 龍谷大学, 理工学部, 教授 (80243179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 螺旋葉序 / 連分数 / タイリング / 複素葉層構造 / 折り紙 / モース指数 |
Research Abstract |
螺旋葉序をモデルとした三角形タイリングについて、理論的枠組みをリーマン面に拡張して多重タイリングとして考えたうえで、その生成元が作るパラメータ空間の構造を明らかにした。parastichy pair が opposed の場合と non-opposed の場合で大きな違いがある。opposed の場合は divergence angle をパラメータとする実代数曲線の族であって、連分数展開と関連があり、その和集合は、多重度を固定するとき単位円板上で稠密でないが、多重度を固定しなければ稠密となる。non-opposed の場合は plastochrone ratio をパラメータとする実代数曲線の族であり、その和集合は、多重度を固定しても単位円板上で稠密となる。さらに、このタイリングを折り紙としても製作した。 複素葉層構造の球面横断性については、接点が共役複素力学系の不動点として定義できることを示した。そして、接点における原点からの距離関数の Morse 性と、力学系の不動点としての双曲性とが同値であることを示した。さらに、その Morse 指数が、力学系の不安定次元に等しいことを示した。共役正則関数の陰関数定理が適用できる条件下において接点集合は実2次元多様体である。最も簡単な場合に、複素1次元力学系の分岐を用いて、接点集合の特異点の構造を調べた。 幾何学構造体スターケージについては、たわみと反力の測定実験を行っている。力学系における 位相的・計算的方法など、その他のテーマについても研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三角形の螺旋タイリングと折り紙の研究については、まとまった研究結果を得ることができた。さらに、この理論的枠組みについては、六角形ないし四角形によるボロノイ螺旋タイリングへの発展的適用が見込まれており、予想以上の研究成果が期待される。この研究において、製作した折り紙とタイリングの図版が Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical の表紙に掲載され、この研究結果に関する講演が日本応用数理学会最優秀ポスター賞を受賞するなど、高い評価が得られている。 複素葉層構造の球面横断性についても、共役複素力学系の分岐を利用して、最も簡単な場合ではあるが接点集合の特異点を記述することができた。その研究結果をまとめた査読論文の掲載が確定している。 星状籠スターケージの構造力学的研究については基礎研究の段階である。力学系の位相的・計算的方法については、いくつかの研究結果を論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
三角形の螺旋タイリングの理論を参考にして、六角形ないし四角形から構成されるボロノイ螺旋タイリングの生成元集合の構造の研究を行う。まえの研究では特別な四角形タイリングとして三角形タイリングが定義されたが、今回は、特別なボロノイタイリングとして四角形ボロノイタイリングが定義され、その生成元集合は実代数曲線の族であることから、類似の理論の構築が見込まれる。 複素葉層の球面横断性については、共役複素力学系としての研究を進めるとともに、余次元1の複素葉層と次元1のベクトル場との対比という観点からも研究を進める。 また、近年の3次元プリンタの技術向上にともない、空間曲線および曲面の製作が容易となったので、正十二面体の対称性をもち球体を充填する螺旋的曲面の製作について研究を進めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
螺旋タイリングの数理について、国立台湾大学との合同ワークショップで研究成果を報告することを計画している。 複素葉層の球面横断性について、2012年度はブラジルを訪問する機会が得られなかったが、2013年度はリオデジャネイロ大学のブルーノ・スカルドア氏を訪問して共著論文について研究打合せを行う計画である。また、2013年度はアラン・エノー氏を龍谷大学に短期招聘できる見込みであるので、この機会に研究打合せを行うことを計画している。 さらに、3次元プリンタを利用した応用幾何学の研究が近年急速に進展しつつあるので、これに対応して、正十二面体の対称性をもち球体を充填する螺旋的曲面について、製作を試みつつ研究を進め、関連する国際的動向を把握するため研究連絡を行う計画である。
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Research Products
(16 results)