2012 Fiscal Year Research-status Report
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24654031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
岡村 寛 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (40371942)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 統計モデル / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
近年,ラジオトラッキングやバイオロギング技術の発達により,動物の移動に関する情報が大量に高精度で得られるようになった.移動データは,動物行動を考える上で基礎データとなり,それをもとに,生息地や餌の利用,ホットスポットの推定,個体群動態モデルとの連携など,広い応用が考えられる. ウナギの移動データを利用して,ウナギの移動パターンを推定するための状態空間モデルの開発に着手した.ウナギの遊泳の要因が何であるかは不明であるが,海流や太陽の方角などの環境要因が移動に与える影響を定量的に評価し得るモデルを考案した.モデルは移動データ分析によく利用されるcorrelated random walkモデルの形をとるが,環境要因の影響を考えるため混合モデルを含んだものになっている.観測誤差を区別するためにベクトル状態空間モデルを利用した.この計算は容易ではないが,AD model buiderと呼ばれる高速計算ソフトを使うことにより,パラメータ推定が可能となった.シミュレーションによる評価では,モデルは正しいパラメータを推定可能であることが分かった.来年度は実データを使った評価を進める. さらに,ツチクジラの鉛直移動に関するモデルの改善に努めた.国際計量生物学会にて,ツチクジラの鉛直移動モデルを利用した研究成果の発表を行った. また,生物の浅い・深いところの分布の違いによって漁業に影響する効果を調べるためのdelay-difference modelを作成し,lingcodデータに適用した.その成果を,国際ワークショップで発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,「潜水・浮上パターンのモデリング.シミュレーションによる個体数推定に対する潜水・浮上パターンの影響評価」を目的に研究を進めたが,ツチクジラデータに対して概ね目標を達成できた.さらに,ウナギの移動データのモデル化を進め,目的以上の成果もあげることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ウナギの移動モデルの改善を進め,実データに適用し,ウナギの移動に何が最も効いているかを調べる.また,ツチクジラの移動パターンの分析法の改善と確立,および実データへの適用を行う. シンポジウムなどを行い最終的な成果を公表する.得られた成果を国内外の学会等で発表し,学術論文の執筆を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,カナダの研究者と共同研究を行うため,海外への渡航旅費に予算を使用する.さらに,論文の公表のため,英文校閲費,研究資料としての書籍の購入を行う.また国内外の学会にて研究成果の公表を行う.
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