2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24654036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 健二 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60141876)
小澤 徹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70204196)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放物型方程式 / 双曲型方程式 / 発展方程式 / 階層構造 |
Research Abstract |
強い減衰項を持つ波動方程式 utt - △ u - c △ut = 0 をモデルに,A を実ヒルベルト空間 H 上の正値自己共役作用素とし (E)α utt + A u + c Aα ut = 0 ( Aα は A の α次の分数冪作用素)に対してる次の興味ある成果が得られた. (1) (E)αを含むかなり一般的な抽象方程式に対する,解の存在,一意性及び解の滑らかさに関する結果が得られた. (2) H = H x D(A1/2), U = ( u, ut ), A U = ( - ut , A u + c Aαut ) とおき,(E)αを (AE)α U’(t) + A U(t) = 0 と書き直すとき,D(A1/2) が H にコンパクトに埋め込まれているという仮定の下で以下が成り立つ.(i) α<1の時 A のレゾルベント (I+ A )-1 はコンパクト. (ii) α≧1の時 (I+ A )-1 はコンパクトにならない.この事実は,放物型方程式の特徴の一つであるリゾルベントのコンパクト性が α=1 を閾値として失われるという事を意味し,「αが大きくなればなるほど減衰効果が増大するので,放物型性も増すであろう」という常識的な予想を覆す極めて重要な知見である. (3) A によってH 上に生成される半群 S(t) の正則性に関して次の結果を得た. 任意のα>0 に対して, U0 が D(A ) に属さなくても∀t>0 に対してS(t)U0 は D(A)に属し,評価 | A S(t) U0 | H ≦(C/t) | U0 | H ∀t>0 を満たす.この事実は,半群の正則性に関しては放物型性を大きく崩すαの閾値は存在しないという,リゾルベントのコンパクト性とは異なる放物型性を有しているという興味深い知見を与えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の大前提である,抽象方程式の解の存在・一意性をはじめ,リゾルベントのコンパクト性や半群の正則性など,基本的な研究課題において大きな成果があった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえて (i) 半群の正則性の精密な評価 (ii) 半群の空間正則性の研究 (iii) 正則性の保存則 (iV) 比較定理 など,放物型性を特徴づける様々な性質についてこうさつを進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外出張や関連する海外の研究者を招聘を通じて,研究連絡を密に行う.
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Research Products
(5 results)