2012 Fiscal Year Research-status Report
チューリングの拡散誘導不安定化再訪-解集合の大域的構造の視点から
Project/Area Number |
24654037
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 泉 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40154744)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 拡散誘導不安定化 / 定常解の分岐 / 特異摂動解 / 大域的構造 |
Research Abstract |
今年度,Turing の反応拡散不安定化に関する論文の出版60周年を記念して,8月に仙台市国際センターにて研究集会 "Turing Symposium on Morphogenesis--Mathematical Approaches Sixty Years after Alan Turing" を開催し,この60年間の反応拡散系の研究を振り返るとともに,今後の展望を示した.本研究課題の問題意識である「定常解の集合の大域的構造」の観点からの研究の重要性を強調した講演を行った.12月に明治大学で行われた研究集会では,活性因子-抑制因子系の提唱者の一人であるMeinhardt教授と意見の交換をする機会を得た.提唱者の問題意識に直に触れることができ,大変有意義であった. また,定期的に「数理生物学セミナー」を開催し,Turingの論文を生物学的観点から評価した論文の輪講を行い,さらに実験生物学者にヒドラ頭部再生実験やゼブラフィッシュの第一運動神経軸索の形成実験の紹介をしてもらった.数理モデルに含まれる様々なパラメータの値が,実際には,どのような範囲にあるべきかを知るためである.非拡散性の成分と拡散性の成分との間の相互作用によってもパターンが生じ得るが,そのようなモデルの定常解の安定性は,反応拡散系の場合よりも弱い位相で取り扱う必要がある.このような場合の線型化安定性判定法を正当化することができた. 不変多様体上での解の振舞いを解明することは,特異摂動解のダイナミクスを知る上で極めて重要である.これについて,最大点がただ一つ領域の境界上に存在するような解の大域的挙動を調べるための漸近展開の公式を確立したので,米国数学会東南支部会で発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定常解の大域的構造を調べるべき,代表的な数理モデルとして,GiererとMeinhardtによる活性因子ー抑制因子系に焦点を絞り,抑制因子の拡散係数が無限大となった極限系の構造を考察した.基礎生産項による大域的構造の変化についての概略が分かり始めた.ほぼ,当初計画に沿った進展と言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
精度保証付き数値解法などを援用して定常解の集合の大域的構造を解明するため,その方面の専門家と共同研究を進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)