2012 Fiscal Year Research-status Report
リウビル・ゲルファント型問題の解の正則性理論の新展開と関連する放物型力学系
Project/Area Number |
24654043
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 太 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10374901)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋平 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (00465387)
杉山 由恵 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (60308210)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 非線形固有値問題 / 正則性・特異性 / 極解 / 半安定解 / 放物型力学系 |
Research Abstract |
本研究課題の主たる目的は、リウビル・ゲルファント型非線形固有値問題の極解と呼ばれる弱解の正則性と特異性、及び付随する放物型力学系の観点からの極解の強い片側不安定性について、特に幾何学的変分問題からのアイデアと非線形解析の手法を組み合わせた従来にない新しいアプローチで、現在まで未解決のままで残されている問題の解明を目指すものである。 本年度は特に領域や解に球対称性などの仮定を課さずに、一般の非線形項・領域に対してリウビル・ゲルファント問題を考察し、極解の正則性についての解明を目指した。まず基本文献である Brezis-Vazquez, Brezis-Cazenave-Martel-Ramiandrisoa 論文の徹底的な読み直しを行い、その議論が Neumann 境界条件に非線形反応項を持つリウビル・ゲルファント型固有値問題に適応可能かどうかを検討した。現在のところ、いくつかの難点が生じて、既存の議論そのままでは突破できない部分があるが、弱解の定義を修正することで克服することを模索中である。また、境界条件を第3種 (Robin) 境界条件に一般化した Gazzola 等による研究論文を検討し、そこでは取り扱われていなかった負の指数を持つ非線形項に関して、領域が球領域の場合に検討を加えた。これらの作業と並行して、非線形 Neumann 境界データにべき型非線形項を持つ2次元楕円型方程式の解の、非線形指数を無限大にした際の漸近挙動に関する研究を行い、解のクラスを最小エネルギー解に限定したものではあるが、部分的結果を得て現在論文を投稿中である。 高橋は本年度において AIMS (Florida), Chile で開催された国際研究集会で研究講演を行い、参加していた J. Davila 教授をはじめとするチリの研究グループと積極的な討議を行って研究の方向について示唆を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までに基礎的文献の調査・検討作業はほぼ終了したが、現在のところ、研究課題の最大目標である、最も古典的なリウビル・ゲルファント問題の極解の高次元領域での正則性を証明するための突破口を見いだせていない状況である。Nedev は極解の半安定性と楕円型正則性およびテスト関数の素朴な方法で3次元以下での極解の正則性定理を証明したが、この結果を4次元領域に拡張するのに、Cabre は新規な幾何学的不等式を要した。このように目標達成のためには幾何学的変分問題からのアイデアが有効となるであろうが、現在はまだ研究分担者・連携研究者とのアイデアの交換の段階にとどまっている。また、対応する放物型力学系との関連の研究も端緒についたばかりであり、研究の加速化を行う必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
境界条件・方程式を一般化したリウビル・ゲルファント型非線形固有値問題の極解の正則性について、まず低次元での Nedev の結果の類似物の証明を目指すのが現実的であろう。現在取り組んでいる非線形 Neumann 境界値型のリウビル・ゲルファント問題に当面注力して、正則性に関する研究成果を得ることを目指す。また、領域や非線形項を限定して問題を考察する方向も取る必要がある。この方向では、第3種境界条件を付した負の指数型非線形項を持つ問題に対して、球領域上で高橋が見出した具体的な特異極解を手がかりに研究を深める予定である。 研究分担者の杉山・佐藤とは、高橋が主催する「南大阪応用数学セミナー」で議論する機会はあるものの、佐藤が25年度より東京工業大研究員として転出する等の事情があり、高橋は佐藤との研究連絡を密にして研究組織の効率的運営と緊密化を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度3月に、高橋は国際研究集会「量子凝集と爆発-数理物理的視点」(於いて大阪大学)の組織を行ったが、その際に招聘予定であったイタリアの研究者1名が来日キャンセルとなり、次年度への繰越金が生じた。この研究費は当該の研究者(またはチリ・スペイン等の当研究課題に係る研究者)を再度招聘する際に使用する予定である。
|
Research Products
(12 results)