2012 Fiscal Year Research-status Report
最新広視野観測装置による近傍渦巻銀河周辺部における星生成領域探査
Project/Area Number |
24654046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (50372454)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 系外銀河 / 星生成領域 / 狭帯域撮像観測 / 広視野撮像観測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超広視野観測装置と狭帯域フィルターを用いた近傍渦巻銀河領域の広視野輝線撮像観測から、渦巻銀河内部だけでは無くその周辺部にも存在するであろうHII領域を探索し、その統計的性質や親銀河の性質との関連性を調査することから、系外銀河一般における星生成現象のパラダイムを検証することである。 研究計画の初年度にあたる本年は、近傍渦巻銀河周辺部のHII領域探索のために必要不可欠である超広視野撮像観測装置に対応したHα輝線用狭帯域フィルターを設計・作製した。なお、超広視野撮像観測装置には、圧倒的な視野の広さと今までの広視野狭帯域撮像観測の実績から、東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡と可視光域広視野カメラ(通称、KWFC = Kiso Wide Field Camera)を用いる。前述したHα輝線用狭帯域フィルターは、これに搭載することを前提に仕様設計した。 同観測所の2KCCDカメラ(KWFC以前の主力観測装置)と、これに搭載されていた狭帯域フィルターを用いて得られた撮像データから、狭帯域撮像観測データのフラックス較正方法やその精度を評価した。これによって、Hα輝線用狭帯域フィルター入手後の性能評価を、順調に進められることを図った。 KWFCによる観測データは膨大なものになり(1晩あたりのデータ量が20GB以上)、画像解析を順調に行うためには、そのためのスクリプトを開発する必要がある。現在、2012年8月に得られたKWFCの広帯域撮像観測のデータを用いて、その開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、広視野撮像装置と狭帯域フィルターを用いたHα輝線または[OIII]輝線撮像観測データを得て、はじめて進め得るものである。このために、申請時の予定では、初年度はじめからHα輝線用の狭帯域フィルターの設計・製作・購入を行い、前半期のうちに、Hα輝線用狭帯域フィルターの性能評価と画像解析方法の確立を完了、後半期から本格的な観測データの収集を開始するはずであった。しかしながら、初年度当初の配分額は、狭帯域フィルターを購入するには全く不十分なものであり、その後、前倒し支払いの制度を利用することで、Hα輝線用狭帯域フィルターを入手できたものの、この手続きのため、初年度は観測データを事実上得ることができない状況になった。Hα輝線用狭帯域フィルターの入手で半年、加えて、初年度の観測データが入手できなかったことから、申請時のスケジュールからの遅れは9ヶ月近くになる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度当初の配分額の問題(前述)のため、本研究計画は申請時のスケジュールから9ヶ月ほど遅れている。これを少しでも回復するため、本年度はじめから観測時間を確保し、早急にHα輝線用狭帯域フィルターの性能評価と画像解析方法の確立・確認を行う(本報告書作成中の2013年5月中旬に、Hα輝線用狭帯域フィルターを用いた撮像観測時間を確保し、最低限の観測データを取得することに成功した)。 2年目に購入予定である[OIII]輝線用狭帯域フィルターも、同様に高額かつ必要不可欠なものであるが、こちらについては、前年度の前倒し支払いの制度の利用によって、予定通り(本年度中頃まで)に購入できると考えている。フィルターの詳細な仕様は現在検討中である。 当初はHα輝線撮像を大きく先行させる予定であったが、本年度は[OIII]輝線用狭帯域フィルターの製作・購入を早急に進めることで、この性能評価と画像解析方法の確立を後半期はじめに完了させたい。そして今後は、近傍渦巻銀河のHα輝線撮像と[OIII]輝線撮像をほぼ平行して進める予定である。 加えて、当初は多くの近傍渦巻銀河の輝線撮像データを用いることで、統計的議論を行う予定であったが、今回の遅れを考慮して、観測対象の数の大幅な見直しを図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは、[OIII]輝線用狭帯域フィルターの作製・購入に用いる予定である。前述したように、具体的な仕様は現在検討中であるが、設計・製作には概算で120-140万円が必要となる。観測時間割当の時期も勘案し、[OIII]輝線用狭帯域フィルターは、8月中には納入出来るスケジュールで仕様決定・製作を進めたい。
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