2013 Fiscal Year Research-status Report
最新広視野観測装置による近傍渦巻銀河周辺部における星生成領域探査
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24654046
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
西浦 慎悟 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (50372454)
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Keywords | 系外銀河 / 星生成領域 / 狭帯域撮像観測 / 広視野撮像観測 |
Research Abstract |
本研究では、超広視野観測装置と狭帯域フィルターを用いた、近傍渦巻銀河領域の広視野輝線撮像観測から、渦巻銀河内部だけでは無くその周辺部にも存在するであろうHII領域の探索を行う。これによってHII領域の統計的性質や親銀河の性質との関連性を再調査し、系外銀河における一般的な星生成現象パラダイムの検証を試みる。 研究計画の2年目にあたる昨年度は、まず、初年度末に製作したHα輝線用狭帯域フィルターを、東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター木曽観測所(以下、観測所)の105cmシュミット望遠鏡用の可視光域広視野カメラ(通称、KWFC = Kiso Wide Field Camera)に搭載し、近傍渦巻銀河M100およびM101領域のHα輝線撮像観測を行った。そして、この観測データを用いた画像解析スクリプトの開発を行った。現在、細やかな諸条件に対応できるように改良を加えている。加えて、Hα輝線撮像データの限界輝度の導出を行い、2014年3月の日本天文学会春季年会にて報告を行った。 また、Hα輝線同様に、本研究に必要不可欠な、[OIII]λλ4959,5007(以下、[OIII])輝線用の狭帯域フィルターを設計・作製し、これを用いたM100およびM101領域の輝線撮像観測を行った。現在、画像解析と[OIII]輝線撮像観測の限界輝度の評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究には、広視野撮像装置と大型狭帯域フィルターを用いたHα輝線または[OIII]輝線撮像観測データを得て、はじめて進め得るものである。しかしながら、初年度当初の配分額は、狭帯域フィルターを購入するには全く不十分なものであり、その後、前倒し支払いの制度を利用することで、Hα輝線用狭帯域フィルターを入手できたものの、この手続きのため、初年度は観測データを事実上得ることができない状況になった。 研究計画2年目にあたる昨年度は、この遅れを回復すべく、Hα輝線撮像観測を急いだが、望遠鏡の改修と、当初期待していた観測所からの画像解析スクリプト配布の中止により、観測データ取得の遅れと、画像解析スクリプト全ての自力開発が必要となってしまった。このために、初年度に生じた申請時スケジュールからの9ヶ月の遅れは、回復するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に生じた配分額の問題(前述)と、2年目(昨年度)に生じた観測時間・画像解析スクリプト開発の問題(前述)のため、本研究計画は、申請時のスケジュールから9ヶ月ほど遅れている。 昨年度末の段階で、画像解析スクリプトの開発と観測データの評価に必要となる最低限のHαおよび[OIII]輝線撮像データが入手出来ているため、まずはこれらを進めつつ(ただし、画像解析スクリプトはほぼ完成し、Hα輝線撮像データの評価もほぼ完了している)、同時に、近傍渦巻銀河領域の輝線撮像観測を進めたい。 当初は多くの近傍渦巻銀河領域の輝線撮像データを用いた統計的議論を行う予定であったが、研究の遅れを考慮し、対象銀河の数を数個に減らして議論を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に行った前倒し支払請求が10万円単位でのみ可能であったため、実際の物品購入に際して、10万円以下の残額が生じたものである。 観測データ取得のための旅費および画像解析のための謝金、または、観測データ保存用機器の購入費として使用する予定である。
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