2012 Fiscal Year Research-status Report
すばる次世代補償光学装置開発に向けた地表付近の大気ゆらぎ調査
Project/Area Number |
24654050
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大屋 真 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (80399287)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / 大気ゆらぎ / 補償光学 / アメリカ / カナダ / オーストラリア |
Research Abstract |
平成24年度は大気ゆらぎ測定プロファイラの準備を進めた。さらにデータが得られた際にそれを利用する最終目的であるすばる次世代補償光学装置開発、特に地表層光学(GLAO:Ground-Layer AO)のシミュレーションを行い、データ活用の準備を進めた。大気ゆらぎ測定プロファイラは、2種類(音響式SNODARと光学式LunarSHABAR)を揃えて試験観測を開始する計画であったが、担当大学の研究者の多忙により遅れが生じており試験観測は未だ実施できていない。 しかし準備は着々と進んでいる。SNODARは、ニューサウスウェルズ大学のMichael Ashley教授を訪問し、製作担当のColin Bonnar氏を交えプロファイラの状況確認やマウナケアでの較正手順や必要機材の確認などを行った。LunarSHABARは、ブリティッシュコロンビア大学のPaul Hickson教授と協議し、電子回路を新規設計することにした。必要な部品は完成しており、組み上げてソフトウェアを用意すれば観測が開始できる。 MASS/DIMMに関しては、北海道大学の渡辺特任助教グループの協力を仰ぎ、最初に日本国内で試験を行い、その後マウナケアに展開する方向で話を始めた。 取得予定のデータを活用する準備は順調に進めた。4月にはマウナケアのシーイングを含めたサイト・モニタリングを話しあうSMOWGミーティングにおいて、本研究計画を紹介し、CHFTのGLAO計画であるImaka関係者と連携を申し入れた。 7月にはSPIEに合わせて開催されたImaka Side-Meetingでも協力を再確認した。6月にはGemini North AOワークショップではGLAOのシミュレーションに関して議論を行い、7月のSPIEミーティング、9月の天文学会秋季年会、3月の春季年会ではGLAOのシミュレーションに関して報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大気プロファイラの製作が遅れて初期観測が完了できていないという意味でやや遅れているが、いずれも準備は着々と進んでいる。また、データが取得された後にそれを活用する準備は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
大気ゆらぎプロファイラに関しては、SNODARをマウナケアで実験を行ったり恒常的に設置するためにはコミュニティからの許可が必要なのでその申請を進めている。また平成24年度に打ち合わせたスケジュールに基づき、必要なデータの提供、較正や初期観測のための機材準備を進めている。LunarSHABARに関しては、年度開始早々の平成25年4月22日から25日までブリティッシュコロンビア大学を訪問し、開発者であるPaul Hickson教授と共に部品の組み立てと較正を行い、月に向けて信号の出力確認まで完了し、新設計の回路の動作確認ができた。今後は、単一のユニットを用いてマウナケアで満月の時の明るさを評価する等の準備を進め、組み立て最終調整後に初期観測を行う予定である。Imakaプロジェクトでは望遠鏡を通して地表100m以下のゆらぎを測定するためのmWFSという計画を実施している。この結果に注目すると共に本研究計画のプロファイラとの連携も検討していきたい。 シーイングの測定と並行してGLAOのシミュレーションも進めて行く。Olivier Lay氏が自ら開発したシミュレーション・コードで計算した結果も研究代表者がこれまで行ってきた結果と一致した。議論の結果としてもGLAOの補正性能はほとんどシーイングデータで決まるということが確認できた。GeminiのGLAOの検討報告書の作成に携わったHIAのDavid Andersen氏からも、特にグレーゾーンと呼ばれる1km以下のゆらぎをもう少し細かくした方が良いとの指摘を受けた。これらの議論の結果を受け、本研究で得られるデータがGLAOの性能評価に非常に有用であることの期待がますます高まった。引き続き、世界中のシーイングや補償光学の専門家と議論を重ねて研究を進めて行く予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の未使用額は、平成25年度にずれ込んだLunarSHABARの支払いに充てる。その他は計画通りであり、観測を実施するにあたって必要な計算機等の物品費とプロファイラ開発の打ち合わせや研究成果発表のための旅費に充てる予定である。
|