2013 Fiscal Year Research-status Report
すばる次世代補償光学装置開発に向けた地表付近の大気ゆらぎ調査
Project/Area Number |
24654050
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
大屋 真 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (80399287)
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Keywords | 国際情報交換 / 大気ゆらぎ / 補償光学 / アメリカ / カナダ / オーストラリア |
Research Abstract |
平成25年度は、大気ゆらぎ測定プロファイラの準備を進め初期データの取得・解析を行った。さらにデータが取得された際にそれを反映させる最終目的であるすばる次世代補償光学装置開発、特に地表層光学(GLAO:Ground-Layer AO)のシミュレーションを行い、データを活用するための準備を進めた。 SNODARは、ニューサウスウェルズ大学のMichael Ashley教授を再び訪問する機会を得て、製作担当のColin Bonnar氏を交え較正データの確認を行った。またマウナ・ケア山頂で同様の較正を行うべく準備を進めた。マウナ・ケアに定常的に設置して実験を行うために、コミュニティへの許可申請を行い認可を得た。LunarSHABARは、ブリティッシュコロンビア大学のPaul Hickson教授にマウナ・ケア山頂を訪問して頂きデータ取得を行った。その際に光源である月の追尾が正しく行えない、電気ノイズの影響で大気ゆらぎのデータが正しく取得できないという問題が判明し原因究明を進めている。LunaSHABARではこれまで経験がない問題なので解明に時間を要している。MASS/DIMMに関しては、北海道大学の渡辺特任助教のグループの協力で測定を進めた。9月に北海道名寄市にあるピリカ望遠鏡を訪問しデータ取得を開始した。その後も学部4年生の合田周平さんの協力で測定を続け初期成果を得て、平成26年3月の日本天文学会春季年会で発表を行った。可能であれば今後マウナ・ケアでの測定にも発展させる方向で検討したい。 データ取得後にそれを活用する準備としては、すばる次世代補償光学装置に関して5月にカナダのHIAを訪問して議論を行い、6月には北海道大学で開催された研究会で地表層光学(GLAO:Ground-Layer AO)のシミュレーションに関する報告を行った。また9月の日本天文学会秋季年会でも発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、いずれの大気ゆらぎプロファイラでも初期データを取得することに成功した。しかし定常的にデータを取得するところまでは行えていないので、やや遅れている。特に、LunaSHABARの月追尾と電気ノイズの問題は未経験の問題であり解決に時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
SNODARに関しては、まずマウナ・ケアで較正実験を完了する。その後は定常的に設置する作業をすすめて、継続的なデータ取得を行う。LunarSHABARに関しては、月の追尾と電気ノイズの問題の解決を進める。予算年度終了後も長期的にデータを蓄積するための礎なのできちんと対処したい。正しくデータが取得できるようになれば、定常的な観測を開始する。IfAのMark Chun氏が開始したimakaプロジェクトではマウナ・ケアのUH2.2m望遠鏡を通して特に地表100m以下のゆらぎを測定し、補正する計画である。LunaSHABARを活用する等してこのプロジェクトとも連携してマウナ・ケアのリッジにおける測定に今後も協力したいきたいと考えている。 シーイングの測定と並行して地表層補償光学系のシミュレーションも進めて行く。特にこれまで得られているデータを活用して地表層補償光学系の評価に向けた大気ゆらぎプロファイルモデルの再構築を行いたいと考えている。 引き続き、世界中のシーイングや補償光学の専門家と議論を重ねて研究を進め、成果を発表して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
観測を定常化が遅れており、そのための物品費や研究成果発表費用を前年度に使用できなかったため。 観測を定常化を進めるための物品及び研究成果発表費用として使用する予定である。
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