2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子エンタングルメントを用いた量子重力理論の定式化
Project/Area Number |
24654057
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高柳 匡 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (10432353)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | AdS/CFT対応 / 量子エンタングルメント / 超弦理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の本研究におけるハイライトは、AdS/CFT対応を用いたエンタングルメント・エントロピーの計算法を大きく一般化できる可能性を開拓したことである。通常、場の量子論のエンタングルメント・エントロピーは、空間領域全体をAとBの二つに分けることで、ヒルベルト空間を直積として2つに分けることから始まる。その片方Bの自由度をトレースアウトすることで、Aに制限された密度行列が定義され、そのフォンノイマン・エントロピーとしてエンタングルメント・エントロピーが定義される。このようにエンタングルメント・エントロピーを定義した場合に、AdS/CFT対応と用いると、反ドジッター空間(AdS空間)内の極小曲面の面積として計算できることはよく知られている。 しかしながら、場の理論のヒルベルト空間の分け方は、もっと一般化できるのは明白である。ではAdS/CFT対応における計算も一般化できるであろうか?そこで、研究代表者らの論文JHEP1404(2014)185では、超弦理論における本来のAdS/CFT対応では、AdS空間とコンパクトな空間の直積が現れることに着目し、このコンパクトな空間内の極小曲面の面積が場の理論の何らかのエンタングルメント・エントロピーと解釈できるかどうか考えた。Dブレインなどを用いて具体的なモデルを考察した結果、場の理論の実空間を二つに分けるのではなく、ゲージ理論の場の成分を二つに分けることに対応することを見出した。実際に、少なくとも半定量的な議論のレベルでは、AdS/CFT対応の計算と場の理論の計算が一致することを確かめることができた。またこの場の理論のエンタングルメント・エントロピー計算を実行するために、複数の新しい計算手法を開発した。
|
Research Products
(14 results)