2012 Fiscal Year Research-status Report
超高速デジタル型シリコン位置測定器の開発および粒子線CTへの応用
Project/Area Number |
24654063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川崎 健夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00323999)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 医学物理 / 粒子線治療 / CT撮像 |
Research Abstract |
本研究の目的・研究計画に沿って、シリコンストリップ検出器に対してしきい値型読み出しを行う回路を設計するために、フォトダイオードを用いた1チャンネルの回路を製作した。測定対象である陽子が検出器を通過した場合に読み出される電荷量は、半導体検出器の有感領域である空乏層の厚みにより、300~400フェムトクーロンと予想される。この信号は、そのままでは小さすぎるため電荷積分型アンプとシェイパーアンプを用いて増幅し、電圧比較回路(コンパレータ)を用いてデジタル信号へと変換する。試作した検出器・回路を用いて、放射線源からのベータ線の信号を観測したところ、電圧信号値はおよそ予想通りの大きさであるが、高振動数の雑音が多く観測された。 多チャンネルでの測定を見越して、雑音の振動数・大きさを抑制する回路のパラメータを詳細に調べた。また、電源・グラウンド系を強化することにより、雑音の大きさそのものを削減することを試みている。これらの結果を踏まえて、多チャンネル回路で用いる集積回路チップの選定を開始した。 デジタル化された信号を計算機へと取り込む部分に用いる、FPGAを使用した高速デジタル処理回路については、所有するものをテスト検出器と接続できるように改良した。内部のロジックはザイリンクス社のツールを用いて作成した。外部から高速のダミーデータを送り、遅延なく処理を行うことができるようにテストを進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度末頃までに多チャンネル読み出し回路基板の設計を行う予定であったが、フォトダイオードを用いた1チャンネル回路の測定で高周波の雑音が多いことが解決できていないため、完了していない。多チャンネルになって使用電力が増えた場合に、量と振動数が変化し得る雑音成分対応できるかが不明であるため、まず2~4チャンネルの回路を試作して変化を確認することが必要と判断した。その作業のため、当初の計画よりも3~4か月程度の遅れが生じている。 データ読み出し部との接続のための、FPGAロジックについては、順調に製作・テストが進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画より多少遅れてはいるが、研究内容に問題は起こっておらず、方針に変更は無い。 本年度は、多チャンネル検出器を設置するための回路基板の設計・製作を行う。製作業者と打ち合わせながら基板の設計を行うために3か月程度、実際の製作に2か月程度かかる予定である。検出器と回路の組立には2週間程度を見込んでいる。製作した検出器は、強度の低い放射線源によってテストし、動作を確認しつつ強度を上げて、高レートでの測定を確認していく。 25年6月に放医研において別件の検出器テストのためのビームテストを予定しており、当初はこのビームタイム内に開発したシステムのテストを行う予定であったが、基板の製作が間に合わないため、10月以降の利用募集について改めて申請を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な予算使用予定は回路基板の製作であり、部品であるLSIチップの購入と基板自体の製作、部品のマウント作業発注などに使用する。業者との打ち合わせにより、これらの経費が予定(約60万円)より3割ほど高額となることが判明した。しかし、25年度購入予定のストリップ検出器について、一部を現有のもの(組立済)を解体して再使用できないか検討中であり、この部分の予算を削減することにより影響を避ける予定である。放射線医学総合研究所等、陽子線ビームを使用する施設の担当者とは、引き続き実験のための打ち合わせを進めるため、計上していた程度(30万円)の国内旅費を必要とする。 その他、消耗品として回路・工作部品や、機器の輸送費は計画通りの予算を執行する予定である。
|
Research Products
(7 results)