2012 Fiscal Year Research-status Report
シリコン検出器によるMeV電子の3次元飛跡構成-高感度ガンマ線カメラへ向けて―
Project/Area Number |
24654065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 温子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50353371)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ガンマ線カメラ / シリコンマイクロストリップ検出器 |
Research Abstract |
シリコン半導体素子を用いて、数MeV 程度のエネルギーを持つ電子の飛跡およびエネルギーを同時に高精度で測定する検出器を開発する。シリコンマイクロストップ検出器の多チャンネルからの波形情報を組み合わせることで、1枚の素子内で三次元的に飛跡を再構成するという試みである。このような検出器を多重に用いて、ガンマ線がシリコン素子内でコンプトン散乱して生成される数MeV の電子の方向およびエネルギー、そして散乱ガンマ線の方向、エネルギーを測定すればガンマ線1個1個に対して到来方向を決定することが可能となり、ガンマ線カメラを構成することができる。 本年度は、既製品のシリコンマイクロストリップ検出器(ストリップピッチ 50μm、厚さ300μm)の各ストリップからの波形信号を読みだすためのボードの設計・製作を行った。ピッチ50μmのストリップからの信号を前置増幅器で読みだすために、ガラスエポキシ素材のボード上にプリント電極を配し、ワイヤボンディングでストリップと結合した。ボードからはケーブルで前置増幅器につなぎ、フラッシュADCで波形を保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、既製品のシリコンマイクロストリップからの波形信号を読みだす装置を製作することができた。 波形情報の解析が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に製作したシリコンマイクロスリップ検出器の読み出しボードを用いた測定を推し進め、波形と位置(奥行)の関係について理解を深める。具体的には宇宙線からの信号をフラッシュADCで波形情報を含めて読みだす。信号のあった多チャンネルの波形から宇宙線の入射角度を再構成する。検出器は2台製作したので、それぞれで再構成した角度を比較することで、精度を評価する。 大量のチャンネルについて上記の角度再構成を行えるようにするため、チャンネル単価の高いフラッシュADCの代わりに、アナログ処理で波形を処理し、位置情報をパルス高に変換する回路を開発する。 本年度に製作した読み出しボードは16チャンネルの読み出しであった。次年度は、64チャンネルに増やすとともに、アナログ波形処理の回路を載せたボードを製作し、宇宙線の入射角度を再構成し、性能を評価する。 以上により、将来的にガンマ線カメラを構成するための原理を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シリコンマイクロストリップの素子の購入に約60万円を予定している。 シリコンマイクロストリップ検出器からの波形情報から位置情報を取り出すためのアナログ回路を製作する。試作のための回路パーツの購入、アッセンブリ等に約60万円を見込んでいる。 シリコンマイクロストリップ検出器を載せ64チャンネルを読みだす読み出しボードに約140万円(試作を数回)を予定している。 研究打ち合わせおよび成果発表のための旅費として約10万円を見込んでいる。
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