2013 Fiscal Year Annual Research Report
微細加工技術と高抵抗物質による、単一電子イメージングデバイスの開発
Project/Area Number |
24654067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
越智 敦彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40335419)
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Keywords | 素粒子実験 / 粒子測定技術 / イメージング / 微細加工技術 / MPGD / μ-PIC |
Research Abstract |
本年度は、高抵抗電極素材として、新たに炭素スパッタを用いる技術を開発し、これを用いた高抵抗陰極型μ-PICの試作を行った。炭素スパッタをMPGDに応用する技術は、本研究代表者が昨年独自に考案したものであり、昨年度まで用いていたカーボンポリイミドと比較するとさらに微細な構造の精度よい作成が期待できる。当初この炭素スパッタ技術は、別件の科研費(基盤研究(B) 23340072)において、高輝度ハドロン環境下で用いるマイクロメガス検出器の開発の過程で研究されたものであるが、本研究課題で開発するμ-PICへの適用により、単一電子イメージングデバイスへ向けた性能の飛躍的な向上が期待できるため、平成25年度の本課題予算としては、大部分をこの試作のために振り向けた。 さらに、本年度試作した検出器では、400μmピッチの個別の電極読出しに対応させることに成功した。これにより、約500チャンネルの信号読出しを扱う必要が出るが、国際協力研究として参画しているRD51で開発されたSRS読出しシステムを導入することにより全信号線の読出しが可能となり、イメージング検出可能な状態の一歩手前まで研究を進めることができた。 一方で、電極形成の精度の問題や、電極間の絶縁破壊について若干の問題が残っており、現段階では、当初目標としていた単一電子イメージングに必要なガイガーモードでの動作までは到達していない。しかし、高抵抗電極による放電抑制は実現できるようになり、X線などの検出は、かなりの高ガス増幅率(10000以上程度)で安定して実現可能になった。これらのことから、単一電子検出へ向けた今後の研究開発のための方向性を明確にすることができた。
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