2013 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導技術を利用した実時間太陽ニュートリノ観測装置の開発
Project/Area Number |
24654068
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90323782)
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Keywords | 超伝導検出器 / 太陽ニュートリノ / インジウム |
Research Abstract |
平成25年度は、前年度に完成したNb/Alを組み合わせた超伝導検出器KID(Kinetic Inductance Detecotr) の開発に基づき、Inの標的を張り付ける作業を行った。最初に行ったのは、Nb/AlのKID作製手順の内、Al薄膜スパッターで止めて、Inを装着する方法をとった。この方法によって、Al膜以外の部分がリフトオフによって剥がれる。Inの装着には、低融点半田(InSn)を用い、それをホットプレートの上で溶かしながらKIDに装着する方法を試した。何度か試してみたが、InSnがうまくつかず、リフトオフでフォトレジストとともに洗い流されてしまった。原因を探ったところ、Al薄膜の表面が滑らかすぎて、半田がつかないことが分かった。 そこで、Inボンディングの経験がある産業技術総合研究所の山森氏と相談し、作製を依頼したところ、うまくIn膜がAlの上に乗ったことを確認した。これは、Au/Tiの薄膜をAlとの間に敷くことによって解決された。複数枚作製して頂き、0.3Kに冷却し測定したところ、70%の歩留まりで共振ピークを確認した。共振周波数の温度依存性を測定することにより、検出器の感度を見積もったところ、太陽ニュートリノ事象で観測されるであろう励起Snからのガンマン線(116keVと497keV)の二つは十分測定可能であることが示された。 今回張り付けて頂いたInの量は2μgであり、目標の4gよりだいぶ少ない。しかし、InボンプをKIDに張り付ける技術が確立されたので、Inボンプの上に別の標的を付けることが可能である。この具体的な方法は、今後検討する必要があるが、TESを用いた同様の方法が成功しているので、不可能ではない。 以上の研究により、In/Al/NbからなるKIDの開発に成功したと考えられる。
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