2013 Fiscal Year Research-status Report
現実的クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解の研究
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24654071
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
仲本 朝基 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10311036)
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Keywords | クォーク模型 / 三体力 / パウリの排他原理 / クォーク多体系 / 核力 / バリオン間相互作用 |
Research Abstract |
クォーク多体系の統一的理解には欠かせない、クォークによるパウリの排他原理の働き方について、これまで知られてきた2重粒子系(6クォーク系)における結果を整理するとともに、さらなる拡張として、3重粒子系(9クォーク系)においてどのような振る舞いをするかについて調べることを目的として、当該年度において我々は、そのために必要な解析的な計算を行ってきた。とりわけこれまでも調べられてきた核力(陽子、中性子だけからなる系において機能する力)に留まらず、ストレンジクォークを含んだハイペロン(Λ粒子、Σ粒子、Ξ粒子、Ω粒子)をも考慮した2重粒子系・3重粒子系についての計算を行い、2重粒子系については全ての組合せについての結果を得ることができた。3重粒子系においては、その計算量が飛躍的に増大するため、かなりの手間と時間がかかっているが、9クォークからなる粒子系の分類上、最も単純な対称性を持つ3核子系とΞΞΞ系については確かな計算結果が得られ、その成果を研究会及び学会において口頭発表した。その内容は、3核子系については、これまでも先行研究において報告されたものと同様に、パウリの排他原理はそれほど強く働かないという結果だったが、今回世界で始めて計算されたΞΞΞ系においては、エネルギー的に最も低い状態である基底状態では比較的強いパウリの排他原理の効果が確認された。今現在も計算は進行中であり、とりわけ宇宙空間に浮かぶ原子核と言われている中性子星の内部においてその存在が確実視されている他のハイペロンたち(Λ粒子、Σ粒子)からなる3バリオン系におけるパウリの排他原理の働き方について、その結果が得られようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画されていたような、統一的な力の働き方を記述するハミルトニアンは得られていないが、その代わり当初予定していた6クォーク系を超えた9クォーク系まで拡張した計算が順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、軌道に乗りつつある9クォーク系の計算を、今後も進めていく予定である。とりわけこのストレンジクォークを含んだ9クォーク系の計算は、現在注目を集めている、宇宙空間に浮かぶ原子核であるところの中性子星の内部構造を解明するために不可欠とみられている3バリオン力の機構を理解する上で重要な知見が得られることが期待できる。今後はクォークによるパウリの排他原理の働きだけでなく、クォーク間に働く力も考慮した計算も進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では、研究成果発表のために国外での国際会議への参加を予定していたが、該当年度においては実現しなかった。 現在、成果が現れつつあり、次年度こそ国外での国際会議において研究発表をする機会をもつ予定である。その際には、会議の場所によっては多額の出張旅費が予想されるため、そのための必要経費として使用したい。
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Research Products
(3 results)